お酒を飲みすぎると男性未妊の原因になる恐れがあります。
まず、なかよしがうまく行かなくなる原因の一つになるというのは、
よく知られていますが、それともう一つ、精子、そのものを減少させるおそれが
あります。
ヒトの体内にアルコールが入ると、体内でアルコールを分解しようとします。
順を追ってアルコールが分解されるまでを追ってみましょう。
1. アルコールを分解するためには、まずアルコール脱水素酵素(ADH)という
酵素によってアセトアルデヒドという物質に分解されます。
2. 次にアセトアルデヒドに分解されたアルコールは
アルデヒド脱水素酵素(ALDH)という酵素よってアセテート(酢酸)という物質に
さらに分解されます。
3. そしてアセテートになったら血液によって全身を巡り、筋肉や脂肪組織などで
水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。
また、体内に入ったアルコールの極一部は処理されず、尿や汗などになって、
これもまた体外に排出されていきます。
アルコールは100%近くが肝臓で分解され体外に排出されていきます。
これは肝臓にアルコールを分解する酵素があるからなのですが、
例外として男性の場合は精巣にもアルコールを分解できる酵素があります。
ですから精巣でもアルコールを分解しようと作用していきます。
なぜ、アルコールを飲みすぎるとだめなのかというと、
上記にアルコールが分解されるまでを説明しましたが、この分解される途中で
できてくる「アセトアルデヒド」という物質が非常に毒性が高いのです。
アルコールをたくさん摂取すると、この「アセトアルデヒド」という物質が
精巣内で増加してしまい、造精機能(精子を作る力)を妨害してきます。
具体的には精子を作る時に不可欠な亜鉛の吸収を妨げますから、
精子の量が減少する恐れが出てきます。
また、ホルモンのバランスが乱れて女性ホルモンがたくさん作られるようになり、
逆に男性ホルモンを抑制してしまうことになってしまいます。
したがって、過度のアルコールの摂取は、テストステロン(精巣内で作られる
男性ホルモン)や精子の量が減少させるおそれがあります。
もちろん、それ以外にも免疫力が低下したり、肝機能への障害も心配です。
お酒は一切ダメなのか?というと、そうでもありません。
ストレス解消やリラクゼーションの効果もありますので、
一概にアルコールはだめだということではありません。
つまり、ある程度のアルコール摂取量を守っているのならOKなんです。
ちょっといい気持ちになるぐらい、いわゆるほろ酔い加減程度というのが
心にも身体にも優しいようですよ。
ではどのぐらいが良いと言われている具体的な量はどの程度かというと、
アルコール1単位ぐらいが目安と言われています。
アルコール1単位というのは20g前後の純アルコールを含むお酒の量です。
体重50kgぐらいの人にとっては4時間で分解されるとされている量のことをさします。
目安の量も掲載しますので目安になさってくださいね。
※ アルコール1単位の目安 ※日本酒:1合
ウィスキー:ダブル1杯
ビール:中瓶かロング缶(500ml) 1本
サワー類(7%):350ml缶 1缶
ワイン:グラス2杯程度
※ 主な酒類の換算の目安 ※
酒の種類 |
アルコール度数 |
純アルコール量 |
ビール(中瓶1本500ml) |
5% |
20g |
清酒(1合=180ml) |
15% |
22g |
ウィスキー・ブランデー(ダブル60ml) |
43% |
20g |
焼酎(1合=180ml) |
35% |
50g |
ワイン(1杯120ml) |
12% |
12g |
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