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ホルモンの役割

<精子製造ライン ホルモン編>

精子は、視床下部、下垂体、精巣の3つの部位の連係プレーによって作られます。
それぞれの部位はお互いを監視しあいながら、精子を製造するために
必要なホルモンを分泌を促進させたり抑制させたりしながら、
精子を製造していきます。
したがって、この3つの部位のうち一つでも異常があると、
精子を作ることに支障が出てきます。

精子を作る上でのホルモンの流れを図にしてみました。

それでは、精子の製造ラインを覗いてみましょう。

精子製造 ホルモンライン

● 精子を作るための流れ

1. まず、精子製造会社のCEOである視床下部が、「精子を作れ〜」と
  生産統括本部長である下垂体に号令をかけます。
  この時に視床下部は、GnRHという性腺刺激ホルモン放出ホルモンを使用して、
  下垂体にあるゴナドトロピン分泌細胞を刺激します。

2. 視床下部からの号令を受けて営業本部長の下垂体は、直接の部下である
  LHとFSHの二つのホルモンにそれぞれ精子製造工場である精巣に
  働きかけるように命令します。

3. 下垂体からの製造命令書を携えてLHとFSHは精子製造工場にある
  二つの部署にそれぞれ製造命令を通達します。

  LHは、精子製造に不可欠な燃料供給部門であるライディッヒ細胞に
  テストステロンを供給しなさいと命令を伝達します。
  FSHは、精子生産部門であるセルトリ細胞に精細胞発育を促進させなさいと
  命令を伝達します。

4. これによって、ライディッヒ細胞はセルトリ細胞に燃料であるテストステロンを
  生産して、供給し、
  セルトリ細胞はそれを使いながら精細胞を育てて完成品である精子を
  製造していきます。

● ホルモン抑制の流れ

しかし、メーカー企業と同じように過剰に精子を作り続けるわけにはいきません。
ほどよい生産量を保つために精子製造工場である精巣は、
生産命令を出すCEOである視床下部と生産統括本部の下垂体が
過剰に生産命令を出さないように、
また、CEOである視床下部や生産統括本部の下垂体もまた、
工場が暴走しないように監視しています。

次にどのように抑制させていくのか覗いてみましょう。

<精巣からの抑制ライン>

燃料供給部門のライディッヒ細胞では、テストステロンを生産すると同時に、
エストラジオールという女性ホルモンの一種も生産します。
テストステロンとエストラジオールは、LHやGnRHを抑制する効果を持っています。

また、精子生産部門のセルトリ細胞では、精子を作り出すと共にインヒビンという
ホルモンも生産しています。
インヒビンはFSHを抑制する効果を持っています。

よって、精子製造工場部門ではテストステロン・エストラジオール・インヒビンという
三つのホルモンを使って、視床下部や下垂体の過剰な生産命令を
抑止し、調整する機能を持っています。

<下垂体からの抑制ライン>

また、下垂体もPRL(プロラクチン)を同時に分泌して、
燃料部門であるライディッヒ細胞が過剰にテストステロンを供給しないように
抑制させています。
これによりテストステロンの供給がコントロールされますので、
セルトリ細胞は精子を作ることを抑制されます。
よって、ほどよく精子生産量を調整することが出来るわけです。

以上の流れから、
生産命令系統である視床下部や下垂体、製造工場である精巣は、
うまく関係を保ちながら精子を作り出しています。

● ホルモンの役割

ホルモンは人間が生命を維持していく上で大切な要素となっているのは
よく知られています。もちろん、生殖機能においてもホルモンは大切な役割を
果たしています。
たくさんあるホルモンの中で、造精機能に関わる主なホルモンの役割を
並べてみました。

<視床下部>

GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン):

ゴナドドロピンを分泌するように下垂体を刺激する役割を持っています。
テストステロンとインヒビンによって抑制されます。

<下垂体>

ゴナドドロピン:

性腺に働きかけて性ホルモンの分泌をするように働きかけるホルモンの
総称のことをゴナドドロピンといいます。
ゴナドドロピンには下垂体から分泌されるLH、FSHや
胎盤などの絨毛組織から分泌されるhCGがあります。

LH(黄体形成ホルモン):

FSHと一緒に卵巣や精巣などの性腺を刺激して、
性腺機能を維持する役割を持っています。

男性では、精巣にあるライディッヒ細胞を刺激してテストステロンの分泌を
促進させます。
また、FSHの作用によってエストラジオール(女性ホルモン)の分泌も促進させます。

テストステロンやエストラジオールによって分泌が抑制されます。

この値を計ることによって性腺機能低下や下垂体機能の低下を起こしていないか 
チェックします。 
LH値が高いと男性では精巣機能低下症(クラインフェルター症候群や
睾丸女性化症候群など)を誘発する原因となり、
低いと下垂体機能低下や視床下部機能低下症、副腎性器症候群、
プロラクチン産生下垂体腫瘍を誘発する原因となります。

FSH(卵胞刺激ホルモン):

LHと一緒に卵巣や精巣などの性腺を刺激して、
性腺機能を維持する役割を持っています。
 
男性では精細管中にあるセルトリ細胞に働きかけて精子を生産させていきます。
また、インヒビンの分泌も促進させます。

インヒビンによって分泌が抑制されます。

この値を計ることによって精巣機能低下や下垂体機能の低下を起こしていないか 
チェックします。 
FSH値が高いと男性では精巣機能低下症(クラインフェルター症候群や
睾丸女性化症候群など)を誘発する原因となり、
低いと下垂体機能低下や視床下部機能低下症、副腎性器症候群、
プロラクチン産生下垂体腫瘍を誘発する原因となります。

PRL(プロラクチン):

乳腺に作用する乳汁分泌ホルモンです。
このホルモンは性欲を刺激したり、ライディッヒ細胞を刺激して 
テストステロンを過剰に分泌しないように抑制する働きがあります。 
また、ゴナドトロピンの分泌もコントロールします。

この値を計ることによって性腺機能低下を起こしていないか、 
下垂体機能の低下を起こしていないかをチェックします。 
PRL値が高いとプラクチノーマ(PRL産生腫瘍)、高プロラクチン血症などを
誘発する原因となり、
低いとSheehan症候群(下垂体前葉機能低下症)を誘発する原因となります。

男性の場合、高プロラクチン血症の兆候として頭痛、視力低下、性欲減退、
EDなどが現れるようです。

<精巣>

● ライディッヒ細胞

テストステロン:
代表的な男性ホルモンで、男性の性的特徴を体に現し、 
その特徴を維持させる役割があります。
95%ほどはライディッヒ細胞で作られ、残りは副腎で作られています。

精細管中にあるセルトリ細胞に働きかけて、精細胞の成長をアシストします。 
さらに副性器(精巣上体・精管・精嚢・前立腺)に働きかけて精液を作ります。

また、LHとGnRHを抑制する働きも持っています。

この値を計ることによって男性ホルモンの活性と精巣機能のチェックができます。
テストステロン値が高いと、男性ホルモン産生腫瘍を誘発する原因となり、
低い場合は原発性精巣機能不全症、低ゴナドトロピン性精巣機能不全症、
肝硬変、肥満などを誘発する原因となります。

エストラジオール:
女性ホルモンの一種です。
男性の場合はライディッヒ細胞から作られています。

GnRh、LHを抑制する役割を持っています。

● セルトリ細胞

インヒビン:
比較的最近になって発見されたホルモンです。

セルトリ細胞で作られているホルモンで、セルトリ細胞の活動を
維持する役割を持っています。
つまり精子形成を維持する役割を持っています。

また、FSHを抑制する働きを持っています。

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