● 精子を作るための流れ1. まず、精子製造会社のCEOである視床下部が、「精子を作れ〜」と
生産統括本部長である下垂体に号令をかけます。
この時に視床下部は、GnRHという性腺刺激ホルモン放出ホルモンを使用して、
下垂体にあるゴナドトロピン分泌細胞を刺激します。
2. 視床下部からの号令を受けて営業本部長の下垂体は、直接の部下である
LHとFSHの二つのホルモンにそれぞれ精子製造工場である精巣に
働きかけるように命令します。
3. 下垂体からの製造命令書を携えてLHとFSHは精子製造工場にある
二つの部署にそれぞれ製造命令を通達します。
LHは、精子製造に不可欠な燃料供給部門であるライディッヒ細胞に
テストステロンを供給しなさいと命令を伝達します。
FSHは、精子生産部門であるセルトリ細胞に精細胞発育を促進させなさいと
命令を伝達します。
4. これによって、ライディッヒ細胞はセルトリ細胞に燃料であるテストステロンを
生産して、供給し、
セルトリ細胞はそれを使いながら精細胞を育てて完成品である精子を
製造していきます。
● ホルモン抑制の流れしかし、メーカー企業と同じように過剰に精子を作り続けるわけにはいきません。
ほどよい生産量を保つために精子製造工場である精巣は、
生産命令を出すCEOである視床下部と生産統括本部の下垂体が
過剰に生産命令を出さないように、
また、CEOである視床下部や生産統括本部の下垂体もまた、
工場が暴走しないように監視しています。
次にどのように抑制させていくのか覗いてみましょう。
<精巣からの抑制ライン>燃料供給部門のライディッヒ細胞では、テストステロンを生産すると同時に、
エストラジオールという女性ホルモンの一種も生産します。
テストステロンとエストラジオールは、LHやGnRHを抑制する効果を持っています。
また、精子生産部門のセルトリ細胞では、精子を作り出すと共にインヒビンという
ホルモンも生産しています。
インヒビンはFSHを抑制する効果を持っています。
よって、精子製造工場部門ではテストステロン・エストラジオール・インヒビンという
三つのホルモンを使って、視床下部や下垂体の過剰な生産命令を
抑止し、調整する機能を持っています。
<下垂体からの抑制ライン>また、下垂体もPRL(プロラクチン)を同時に分泌して、
燃料部門であるライディッヒ細胞が過剰にテストステロンを供給しないように
抑制させています。
これによりテストステロンの供給がコントロールされますので、
セルトリ細胞は精子を作ることを抑制されます。
よって、ほどよく精子生産量を調整することが出来るわけです。
以上の流れから、
生産命令系統である視床下部や下垂体、製造工場である精巣は、
うまく関係を保ちながら精子を作り出しています。
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