Contents
  Back  
SITE MAP
CONTENTS
 
BACK
 
SITE MAP

mbline

blueneko Complete Failure

0点 TESE直前精液検査

bluecat

試験前

前回のホルモン検査の結果を受けて1ヵ月後に精液検査を受けることになった。
その大事な検査を控えているのに大雪が降ってしまい鍼治療を休んでしまった。
大雪のばか〜と古きよき時代の青春映画さながらに空しく窓の外に向かって
叫ぶ私(笑)
そんな私を見て彼は、行きたいのは山々だけど、
無理して出かけて事故を起こすことはないよ。と、苦笑いしていた。
車が無理なら電車は?と最寄り駅に尋ねてみたがこちらも雪の影響で
大幅にダイヤが乱れているとのことで、すごすごと諦めて治療院に電話を入れた。
現地は雪は降っていないとのことだったが、行くまでの間が余りにも不安だったので
素直にキャンセルした。

精液検査を控えた1週間前に検査前最後の鍼治療に出かけた。
今回の検査は待ったなしで結果が出るそうだ。
検査をして1時間後には結果が出る。
この結果如何によって次のステップが決まる。
ようやく医療現場(医者ではないけれど)に復帰となりそうだ。

鍼治療を彼が受けている間、診察室に呼ばれ、院長と色々な話をした。
♪ちゃん検査の後のこと、それから今までのこと、
なんだか受験生を送り出す先生と生徒のようなそんな雰囲気だった。

先生も感慨深げなご様子で、彼も色々心で思うことがあっただろうに、
よく通ってくれたよね。と仰っていた。

本当によく通ってくれたなと思う。
鍼治療を勧めた時には乗り気ではなく、私の泣き落としに負けた形で
通い始めた彼。
毎週長距離を運転をし、疲れているだろうに文句も泣き言も言わず、
黙々と通い続けてくれていた。

精液検査を受ける病院は治療院が紹介と言う形で紹介状をもらい
検査を受けることとなった。
院長先生の期待通り♪ちゃんがお出ましになってくれることを祈っている。

mbline

bluecat

不合格

あっという間に精液検査日となった。
朝早くに起き二人で紹介先の病院に向けて出発した。
受付を済ませかなりの時間待たされた。
ここの病院は総合病院でもあるため、未妊治療以外の患者さんも多く、
また週末ということもあってかなり混み合っていた。

ようやく診察室に呼ばれ検査前の診察となった。
簡単な診察の後、看護師さんに案内されて採精室に向かった。
私は外に放り出され彼が検査を終えるのを待っていた。

検査が済んでまた診察室に入ると検査結果は約1時間後に出るが
待つかどうか聞かれ、待つことにした。
検査結果が出るまでの間、病院から近い喫茶店で軽い食事を摂り
しばらくして病院に戻った。

そして名前を呼ばれ診察室に入って結果を聞いた。
結果は以前と同じく「0」だった。
かなり細かいレベルの精液検査だったし、医師の話だと遠心分離機にかけて
探してくれたらしいがやはり一匹も見つからなかったそうだ。
彼の顔がみるみるうちに曇っていくのが分かった。
検査結果の紙をもらい会計を済ませ治療院に向かった。

車中は痛々しいほど必死に平気を装う彼。それを気遣う私。
以前のあの重くて逃げ出したくなるような雰囲気が戻ってきてしまった。
院長先生の「もしかしたら・・・」という言葉に私たち夫婦は
自分たちでも気付かないまま縋りついていたんだろう。
私以上に彼はもっとだったに違いない。

結局、大学病院での見解どおりTESEをして精子を探し出さないことには
先に進めないこととなった。

治療院についてしばらくしてから診察室に入った。
院長は結果をご存知のようだったらしく、淡々と次のステップについて話をされた。
その言葉の中にはどこかしら突き放されたような感じがして、
今までの雰囲気と何かが変わっていた。

TESEを受ける病院をいくつか候補を挙げられて話をされた。
大学病院よりも最初に挙げられた候補の病院は、
未妊治療の最終駆け込み寺と呼ばれる病院だった。
そこだと万が一♪が見つからず細胞レベルだったとしても
ICSIに進める可能性が残されることを考えた上でのことだったと思う。
いくつか地元から近い病院も紹介されたが、院長先生の話だと、
その駆け込み寺の病院が一番だと遠まわしに勧めているのが分かった。

彼はうつむいたまま話を聞いていたが、その病院名を出されたとたん、
顔をあげてむっとしていた。
何が気に障ったんだろう?
しかし、分かりました。よく二人で考えて決めます。と
一言言うとまた黙り込んでしまった。

治療を終えて彼になぜむっとしたのか聞いた。
「よく簡単にあの病院を勧めるなと思ったんだよ。
今まで以上に金もかかる、距離もある。一回行ったら終わりじゃない。
先があるのなら何度も通うことになるんだよ。
ぶらっと近所に行くようなレベルじゃない。
それになんか結果を受けて逃げ回っているような印象を受けたんだ。」
と言っていた。

私はきっと二人で落ち込んでいるから普段ならなんとも無い言葉だけど、
反応しちゃったんだよ。と、言うしかなかった。
その時は気のせいだと信じていた。
しかし、彼の直感は当たっていた・・・。
今までの暖かい居心地のよさが治療院から無くなってしまったことについては・・・。

mbline

bluecat

0点なんか

検査結果の後、数回、鍼治療に通った。
院長は病院決めた?と聞かれたが私たち夫婦にとっては
一大決議事項であるため、なかなか決まらないことを告げた。

院長先生が勧める駆け込み寺がいいのか、それとも以前通っていた
大学病院にするべきなのかそれとも他がいいのか迷っていた。

ただ、彼は、
「0点はもう要らない。もうそんな結果は見たくもない。
だから最終決着をつけるためにも、TESEは受ける」と
言ってくれてはいた。

0点・・・。
この言葉の重みを反芻するたびにいたたまれなかった。
彼の心の痛み、苦しみ、悔しさなどがそこには全て凝縮されている気がした。
3度にわたる精液検査・・・。
その度に「無精子症」という烙印を押され続けられていた彼。
彼はその烙印を黙って受け止め続けていた。
泣く事もわめくこともせずに・・・。ただじっと黙って耐えていた。
その心の内は彼にしか分からない。
でも彼の心の中で渦巻いている感情の一端を図れる言葉だったと思う。

いったい彼が何をしたというのだろう?
どんな罪があるというのだろう?
もしかして私の罪を彼が代わりに背負ったんだろうか?
もしそうなら神様はいるんだろうか?
人の罪を他人に押し付けるような残酷な神。
そんな神なら刺し違えていもいい。抹殺したくなるぐらい憎い。
私に罪があるというのなら私に全部押し付ければいい。
だから彼をこれ以上苦しめないで欲しい。

mbline

bluecat

手をつないで

あれから何度もTESEを受ける病院を選ぶために彼と話をした。
TESEを受けるための病院選定についてブログで話すと、
様々な意見を仲間たちがくれた。
確かに二人の中に二通りの意見が芽生えている。
そのことを裏付けるかのようだった。

それは、最悪の結果を想定しているからだった。
もし♪ちゃんが見つからなかったことを考えると、
駆け込み寺でTESEを受けた場合、彼にとっては決定打となってしまう。
彼にとって残酷な結果だ。
お前には子供を持つ資格が無い。その宣告を受けるに等しい。
果たして彼にも私にもその事実を受け入れることが出来て、
その先の未来を明るく生きていけるのだろうか?と考えるとためらってしまう。

また、通っていた大学病院で受けた場合見つからなかったら
駆け込み寺で受けていたら結果は違ったかな?
と少しの希望を残したまま諦めきれるだろうか?という気持ち。
いつかどこかであの時やっぱりという気持ちが
生まれないという保証はどこにもない。

後悔をしないためなら駆け込み寺なんだろうか?
たとえ二人にとって残酷な結果だったとしても?
いやいや、そんな厳しい現実をわざわざ自分たちから知る必要があるのだろうか?
一片の希望を残しておいてもいいのではないだろうか?
そう思うとなかなか病院が決まらない。

ただ二人でしっかり決めたことは一つだけあった。
どんなことがあっても二人で一緒に
人生を歩いていこうと決めたこと。

二人の天使が舞い降りてくれてもくれなかったとしても、
最後は二人になるのだから、このお互いの手を離さないで歩いていこうと決めた。
どんなことがあったって今まで二人で乗り越えてきたのだから、これからも同じ。
何も変わらないから。と、二人で泣きながら話した。

新婚初夜の
「ふつつかものですが、どうぞよろしく」を
もう一度、ベッドの上でやった(笑)

どんな結果がこの先待っていても大丈夫。手を離さないで生きていける。
かけがえのない人と出会えた。
それだけでも私にとって幸せなことだと思っている。

mbline

bluecat

病院選定

だんだんと候補が絞られてきていた。
駆け込み寺へも問い合わせをかけていた。
二通りの気持ちがあるのならそれを素直に受け止めて、
両サイドから検討してみよう。それが、現時点での答えだった。

TESEは一度きり。二度目は無い。そう決めていたからだった。
それにTESEを受けるまでの待ち時間のこともあった。
自分たちの気持ちがどこまで待ち時間の間持つのか分からない。
未妊治療のトンネルの中でずっと来るべき日をじっと待ち続けること、
心が疲れきってしまわないだろうか?そんなことも考えていた。

双方の病院の費用のこと、待ち時間のことを合わせて検討して、
それでも決められなかったら双方のドクターと話をして
それによって決めていこうと思っていた。

そして二つの気持ち。
彼と私で話したことは後悔のない選択。
後でやっぱりあの時こう決めていたらを避けたいという強い気持ちがあった。

彼が最も気にしていたTESEの痛みのことをネットの友達から聞いて、
思ったほど痛くないという意見が多数を占めていたことも参考にした。
もし、近くでTESEをして♪が見つからなかった場合、
もう一度駆け込み寺で受けてみたい。そんな気持ちを持ってしまうだろうと
予測できそうだったからだ。

それにTESEまでの待機期間。
近場の病院に問い合わせたところ半年以上待ち時間があった。
遠い方は1ヶ月ちょっとで実施可能だということだった。

いつまでも「どうしよう」と言ってはいられないよね?
もう決着をつけてもいいよね?
出来たら早い方がいいかもしれないね。
今までも不安と期待で気持ちが揺れ動きながらだったから、
また半年となるとこれが持続していくということ。
なら早く決着が着いたほうが気持ちの上ではいいのかもしれないと考えていた。

最後に費用のことも検討した。
TESEを受けるまで鍼治療には通うと彼は言っていたので、
その費用も付け足して検討した。
結果、思ったほど差額は出なかった。

長い長い話し合いの結果、遠い方の病院、駆け込み寺と呼ばれる病院で
TESEを受けることを決めた。

さっそく遠い方の病院にコンタクトをとってオペの予約をし、打ち合わせをした。
その結果、桜の咲く頃、TESEを受けることになった。

二人で選び取った結論。だから後悔は無い。
たとえどんな結末が待っていたとしても迷わないだろう。
後は静かに穏やかにその日を待とうと思っている。

冬景色3 趣味の部屋
mbline

Back   Next
Back
 
Next