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ART(補助生殖医療技術) ミラクルへの手助け

hanepen

ART(補助生殖医療技術)とは

bluecat

ART(Assisted Reproductive Technology)の定義

ARTという言葉を未妊治療を行う上でしばしば目にしたり耳にしたりすると思います。
ARTとは、英語の「Assisted Reproductive Technology」の略語で、
この頭文字を取って「ART」、訳すと補助生殖医療技術になりますが、
日本では「補助生殖医療技術」または「高度生殖医療技術」といいます。
一般未妊治療とARTの違いですが、
一般未妊治療の場合は配偶子(精子と卵子のこと)操作は
精子のみが対象です。
しかし、ARTの場合は精子だけではなく、卵子または胚の操作も
対象となります。
一般にIVF-ETICSIGIFTZIFT法がARTと呼ばれています。
medecine

bluecat

どんな場合にARTを行うの?

一般の未妊治療では妊娠が難しい場合、ARTによる治療を行います。
女性にも男性にもARTによる治療を行うための因子がありますが、
ここでは男性因子によって適応される場合を並べてみました。

精子濃度によるARTの目安
人工授精 (AIH) 精子濃度 1000万/ml以上
体外受精 (IVF-ET) 精子濃度  500万/ml以上
顕微受精 (ICSI) 精子濃度    1/ml以上

pinkcat

ARTによる具体的な治療法

pinkcat
ARTと呼ばれる治療法とは、具体的にどのような治療法なのか、
それぞれの治療法の説明と、実施されるケース、治療の流れを書いてみました。
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人工授精 (AIH)

AIHはARTのカテゴリーには入らず一般未妊治療になりますが、男性因子の場合も
もちろん、関係してきますので、ご紹介します。

AIHとは、「Artificial Insemination by Husband Sperm」の略語です。
訳すと配偶者間人工授精となります。
人工授精というと、イメージ的に人工的に配偶子を受精させると思われがちですが、
人工的に精子を子宮腔内に送り込むことをさします。

本来ならば「なかよし」によって膣内に射精された精子が頚管粘液を泳いで、
子宮腔内に入ります。そして、卵管へと泳ぎ卵子と出会って受精が成立します。
この過程を人工的に補助することが人工授精(AIH)です。
従って女性の子宮に精子を授けることを人工授精といいます。
精子を送り込むこと=「なかよし」の代わりですから、受精後は通常の自然妊娠の
過程と変わることはありません。
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AIHが実施されるケース

男性未妊の場合、以下のケースの場合にAIHが実施されます。
○ 性交障害:性交障害の治療を行っても改善しない場合や、
   膣内に射精が出来ない場合
○ 乏精子症:精子濃度が2000万/ml以下の場合
○ 精子の運動率:精子の運動率が50%未満
○ 逆行性射精障害:膀胱内から精子が回収された場合
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AIHの流れ

AIHには、自然周期によるAIHと、人工的に排卵の周期をコントロールして行う
AIHがあります。
治療の流れですが、女性側の排卵に合わせて行われます。

1. 精液採取
AIH実施日当日にマスターベーションにより精液を採取します。
病院によりますが、自宅採取が可能な場合と病院で採取する場合があります。

2. 精子調整
次に採取された精子の調整を行います。
採取された精液をそのまま子宮腔内に注入することもありますが
男性未妊の場合はほとんど何らかの精子調整を行います。
この精子調整を行うことでより元気な精子を選別し、
精子の運動を妨げるものを除去することで妊娠率をあげることが可能です。
精子調整法には以下の方法があります。
・遠心分離法
精液に約3倍の量の培養液を加え、遠心分離をします。
授精を妨げる物質が上へ、精子は下に沈みます。
これにより精子のみを取り出すことが可能ですので精子濃度を上げることが
可能です。

・ 密度勾配法
精液にパーコール溶液を混ぜ遠心分離します。
これによって生きている精子が下層に集まります。
この方法によって良好な精子を集めやすくなります。
さらに精子洗浄を行い、精液に混じっている細菌や白血球などを取り除き、
精子の運動率を高めることが可能です。

・ スイムアップ法
あらかじめ遠心分離法などによって濃い精子液を作ります。
次に培養液を静かに注ぎます。しばらくすると培養液の上層部に運動率の
良好な精子が泳いで集まってきます。
上層部の液のみを回収することで妊娠率を高めます。

3. 授精へ
処理した精液を注入器に入れ、子宮内に注入します。
その日の内に通常生活に戻れますし、夫婦生活を持つことも充分に可能です。
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体外受精 (IVF-ET)

IVF-ETとは「In Vitro Fertilization and Embryo Transfer」の略語です。
訳すと試験管内で授精させ胚を移すになりますので、体外受精・胚移植となります。

体外受精は、一旦、卵子も精子も体外に取り出します。
取り出した配偶子をシャーレの中で混ぜて受精させ、受精卵を子宮に戻します。
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IVF-ETが実施されるケース

男性未妊が原因の場合は以下のケースの場合にIVF-ETが実施されます。
○ 乏精子症:精子濃度が500万/ml以下の場合。
○ 精子無力症の場合
○ 抗精子抗体の場合
○ 原因不明の機能性障害
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IVFの流れ

1. 排卵誘発
多くの場合、採卵数を増やす為に排卵誘発剤を使用していきます。
この排卵誘発剤は生理周期に合わせて投与する薬剤の種類が変わります。
排卵誘発剤が使用できない場合は自然周期による採卵を行います。

2. 採卵日決定
卵胞の数や大きさをチェックしながら採卵日を決定します。
具体的には卵胞の大きさが18mm〜20mmぐらいになったら、採卵時間の
約37時間前にhCG(胎盤性性腺刺激ホルモン)を投与します。

3. 採卵・採精
hCG投与後、34時間過ぎに採卵と採精を行います。
<採卵>
通常は麻酔(局所麻酔、静脈麻酔など)をかけて行う為、痛みはありません。
超音波で卵胞の位置確認をしながら、採卵針を膣から卵巣に向かって
刺します。卵巣に採卵針が到達したら卵胞液ごと卵胞を採取します。
採取された卵胞はシャーレに移され卵そのものを探します。
採取した卵は培養液で洗浄し、状態の良い卵を選び、培養器で前培養します。
<採精>
採卵当日にマスターベーションにより精子を採取します。
病院によりますが、自宅採取が可能な場合と病院で採取する場合があります。
採取された精子はAIHの場合と同様、濃縮・洗浄し質の良い精子を選びます。

4. 媒精
処理の終わった精子を、選別され培養器に保存されている
卵にふりかけます。

5. 培養
媒精をさせた卵を体内と同じ環境にした培養器に入れで培養します。

6. 受精
精子が卵の透明帯を通過し、卵と一体になれば受精が成立します。
約18時間後に「2前核期胚」になっていれば受精成立となります。
その確認がされた後、再び培養器に入れます。
その後順調な場合、採卵後2日目で4分割、3日目8分割まで分裂します。

7. 胚移植(ET)
卵子や精子の状態によって胚にも良否が出ます。
フラグメンテーション(細胞のかけら)の割合で評価をします。
この割合が少ないほど良好な胚(良好胚)です。
受精し分裂が進んだ受精卵の中から良好な胚を選んで、
胚移植を行います。
Nurse
胚移植は通常、採卵後2〜3日後に行われます。
選んだ胚を細くて柔らかいチューブを使い子宮の奥に戻します。
1回の移植に戻せる受精卵の数は原則3個までになっています。
これは多胎妊娠を避けるためです。
胚移植の2週間後に妊娠判定を行います。
※ 培養期間を延長し、胚盤胞まで育てて移植する胚盤胞移植もあります。

また、IVFによって多くの受精卵が余った場合、凍結して次回以降の胚移植に
使用することが可能です。
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顕微受精 (ICSI)

ICSIとは「Intra Cytoplasmic Sperm Injection」の略語です。
訳すと細胞質に精子を注入するという意味で、卵細胞質内精子注入法といいます。
IVFが受精を自然に任せるのに対し、ICSIの場合は、顕微鏡を見ながら
1つの卵に1匹の精子を直接卵に注入して受精を行います。
ICSIは直接卵に精子を注入させますから、精子自身が卵を覆っている透明帯や
細胞質膜を通過するという過程がなくなりますので、運動率や受精能力が悪くても
受精する可能性が高くなりました。
この方法が臨床応用されるようになってから重度の男性未妊の場合でも
妊娠を望めるようになりました。

顕微授精について

顕微授精は1980年後半からヒトの不妊症治療法として臨床応用されました。
顕微鏡を用いて細いガラス管を使用し、精子を卵に注入する方法です。
顕微授精にはICSIのほかに2種類の方法があります。

・ SUZI法(囲卵腔内精子注入法)
囲卵腔(卵と透明帯の間)に精子を注入します。
・ PZD法(透明帯開孔術)
透明帯にピペット(細いガラス管)で穴を開けて精子の進入をサポートします。

現在ではICSIの成功率が他の2方法よりも高いのでICSIが顕微授精の主流です。

無精子症でも諦めないで

顕微授精が臨床応用されるようになってからはこれまでは難しい
されていた重度の男性未妊治療に可能性が広がってきました。

今まで精子が精液にいない場合は、配偶者間の妊娠は諦めざるを
得なかったのですが無精子症と診断されても諦めるのは早いです。
注射セット
男性未妊の原因と治療法のページでもふれましたが、
無精子症と診断されたとしても精液中に精子が認められないだけで、
精巣内に精子や精子細胞が存在する可能性はあるのです。
検査目的の精巣生検ではなく精子回収術としてのTESEやMESAを行うことにより、
精巣上体や精巣内から精子を探して見つかれば、それを採取して
顕微授精を行えば無精子症と診断されても妊娠は望めます。

また、仮に、精巣中に精子が見つからなくても精子になる前の細胞が見つかれば
その細胞を用いてICSIを行う技術も研究され、ごく一部の病院ではありますが、
臨床応用もされていますし、実際に精子細胞を使用した顕微授精による
妊娠・出産例もあります。
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ICSIが実施されるケース

男性未妊が原因の場合は以下のケースの場合にICSIが実施されます。
○ 乏精子症:精子濃度が極端に少ない場合
○ TESEやMESAによって精子を採取した場合
○ 重度の精子無力症の場合
○ 精子の奇形率が高い場合
○ 受精障害
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ICSIの流れ

IVF-ET(体外受精)の流れとほぼ同様です。
1. 排卵誘発
IVFと同様の処置を行います。

2. 採卵日決定
IVFと同様の処置を行います。

3. 採卵・採精
<採卵>
IVFと同様の処置を行います。
<採精>
採卵日当日にマスターベーションにて精子を採取するか、
若しくはTESEやMESAなどによって精子を採取し、凍結している場合は、
解凍して使用します。また、精子調整も行います。

ここからがIVFと違うところです。全て顕微鏡下で行います。

4. 精子選択
顕微鏡を見ながら調整された精子の内、状態のいい精子の一つを
インジェクション・ピペットというガラス針で捕まえ、針の中に吸引します。 

5. 精子不動化処理
捕まえた精子をガラスピペットを使って精子の尾部をこすり、
動きを止めます。

6. 卵の固定・保持
卵をホールディング・ピペットというガラス管で吸引保持させます。

7. 卵の細胞質内に注入する
不動化処理をされた精子をインジェクション・ピペット内に入れ、
この状態で卵の細胞質内にインジェクションピペットを差し入れます。

8. 卵細胞質を破る
細胞質を吸引して、卵細胞膜を破ります。
9. 精子注入
卵細胞膜が破れていることを確認後、精子を注入します。

10. 受精
ここからはIVFと同じで、9までの処理が終了後、培養器に入れて
培養します。
約18時間後に「2前核期胚」になっていれば受精成立となります。
その確認がされた後、再び培養器に入れます。

11. 胚移植
IVFと同様に胚移植を行い、約2週間後に妊娠判定を行います。
※ 培養期間を延長し、胚盤胞まで育てて移植する胚盤胞移植もあります。

また、ICSIによって多くの受精卵が余った場合、凍結して次回以降の胚移植に
使用することが可能です。
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配偶子卵管内移植 (GIFT)

GIFT法とは、「Gametes Intra Fallopian Transfer」の略語です。
訳すと配偶子を卵管の中に移動するという意味で、配偶子卵管内移植といいます。

方法は、まず、IVFの採卵・採精までの処置を施します。
次に腹部を小さく切開して、腹腔鏡を使用し、卵と精子を卵管に戻します。

<メリット>

IVF-ETが培養器で受精卵を培養して子宮に戻すのですが、GIFT法の場合は、
受精する前に卵管に戻すのでIVFと比べると自然な状態での受精・着床が
行えます。
また、上記のことから妊娠率はIVF-ETより高めですし、流産率も低めです。

<デメリット>

卵管に卵を戻す処置をするので、少なくとも片方の卵管が通っていること、
受精障害が無いことが必須条件です。
また、腹腔鏡下で処置をする為、麻酔が必要となり入院が必要となります。
体力面では一般のIVFに比べると負担がかかります。
また、受精確認をしないので、受精障害があるか確認ができません。

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接合子卵管内移植 (ZIFT)

ZIFT法とは、「Zygote Intra-Fallopian Transfer」の略語です。
訳すと接合子を卵管の中に移動するという意味で、接合子卵管内移植といいます。

接合子というのは受精卵のことを指します。
GIFT法が受精確認を行わず卵管に戻す方法ですが、ZIFT法の場合は、
受精確認を行った上で卵管に戻します。

方法は、まずIVFの受精確認の段階まで処置を施します。
約18時間後受精確認を行った後、GIFT法と同様に腹部を小さく切開して、
腹腔鏡を使用し、受精卵を卵管采に戻します。

<メリット>

受精が確認されてから体内に戻すことができます。
妊娠率も流産率もGIFT法と変わりません。

<デメリット>

卵管に受精卵を戻す処置をするので、少なくとも片方の卵管が
通っていることが条件となります。
また、腹腔鏡下で処置をする為、麻酔が必要となり入院が必要となります。
体力面では一般のIVFに比べると負担がかかります。
聴診器

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