Contents
  Back  
SITE MAP
CONTENTS
 
BACK
 
SITE MAP

apple line

男性未妊の原因と治療法

hanepen

男性未妊の原因と治療法

男性未妊の原因は大きく分けて、
1. 精子を上手く作れない造精機能障害
2. 精子が外に出てこれない精路通過障害
3. 副性器が炎症などを起こしている副性器機能障害
4. 仲良しが上手くいかないなどの性機能障害
5. その他(精子そのものの異常など)
Doctor
の5つにカテゴライズできます。
おおまかな原因とその治療の過程をフロチャート式に表にしてみました。
気になる診断や原因をクリックすると解説項目に飛べます。
未妊の原因で重複している原因がありますが、その項目については
一つにまとめてあります。
治療法については、各症例や原因ごとに述べていますが、
各症例の直接的な治療法と共に生殖医療の治療法をまとめて表にしてあります。

apple line
男性未妊治療法のフロチャート

造精機能障害

診断  乏精子症 非閉塞性無精子症

原因  特発性精子形成障害 精索静脈瘤 停留精巣放置
   ホルモンの異常 染色体異常 精巣炎
   物理化学的因子 外傷 精巣捻転症

治療法まとめ 造精機能障害の治療法まとめ
精路通過障害
医療器具
診断  精巣上体炎 閉塞性無精子症 精路閉塞・狭窄・欠損

原因  精巣上体炎 精巣上体発育不全 ヤング症候群
   外傷 鼠径ヘルニア手術による閉塞 先天性精管欠損症
   パイプカット 先天性の射精管閉塞・狭窄 尿道炎

治療法まとめ 精路通過障害の治療法まとめ

副性器機能障害

診断  膿精液症 精子無力症
聴診器
原因  精嚢炎 前立腺炎

治療法まとめ 副性器機能障害の治療法まとめ

性機能障害

診断  勃起障害(ED) 膣内射精不能 逆行性射精
   無精液症    

原因  心理的要因 陰茎異常 神経伝達異常
   陰茎への血管系異常 ホルモンの異常 糖尿病
   骨盤内の手術 脊髄損傷 誤ったマスターベーション

治療法まとめ 性機能障害の治療法まとめ

その他

診断  抗精子抗体 奇形精子症 精子不動症
   死滅精子症    

原因  外傷 カルタゲナー症候群 感染症

治療法まとめ その他の治療法まとめ
apple line
このページのTOPへ  
造精機能障害

造精機能障害とは

精子をうまく作れない状態のことをいいます。
男性未妊の原因の約90%を占めています。
精巣そのものに異常があったり、ホルモンの異常によって起こります。
診断

造精機能障害の症例

bluecat

乏精子症

  1ml中の精子の数が正常値よりも極端に少ない場合、
精子濃度が2000万匹/ml以下、あるいは精子数が5000万匹以下の場合を
乏精子症といいます。
また、程度により軽度、中度、重度(高度)に分けられています。

軽度乏精子症
症例
精子数が約5000万/ml程度

未妊の原因そのものの治療法
まず、薬物療法(ホルモン剤・非ホルモン剤・漢方薬)による投薬治療を行い、
精子濃度の改善を目指します。
また、触診やエコーにより精索静脈瘤が発見された場合は、
精索静脈瘤の除去手術を行い、精巣内の環境改善を図ります。

未妊治療
投薬治療や精索静脈瘤の除去手術後、精子濃度の改善度により、
タイミング法やAIH(人工授精)からスタートします。

中度乏精子症
症例
精子数が1000〜3000万/ml程度

未妊の原因そのものの治療法
精索静脈瘤がある場合は、除去手術を行います。
また、薬物療法(ホルモン剤・非ホルモン剤・漢方薬)による投薬治療を行い、
精子濃度の改善を目指します。

未妊治療
AIH(人工授精)からスタートします。 
場合によっては体外受精(IVF)が適用となります。

重度乏精子症
症例
精子数が500万/ml以下の場合

未妊の原因そのものの治療法
残念ながら精索静脈瘤の手術や 薬物療法のみの治療では
重度の乏精子症は、自然妊娠は難しいといわれています。
人工授精(AIH)を行う場合でもある程度精子の数が必要ですので、
人工授精を行う為に必要な目安である精子濃度1000万/ml以上よりも
少なければ妊娠する確率は低くなってきます。 

未妊治療
体外受精(IVF)又は顕微授精(ICSI等)が適用となります。
場合によってはMESA・PESA・TESEを用いて精巣上体及び
精巣内の精子を取り出すことを検討する必要があります。
bluecat

非閉塞性無精子症

  射精精液の中に精子が全く認められない場合を無精子症といいます。
精液検査はその日の体調等に左右されますので、
通常は一度の精液検査のみでは、無精子症と診断されません。
少なくとも2回以上、精液検査を行い、無精子症かそうでないのかを
慎重に確認する必要があります。
無精子症の原因は大きく2つに分けられています。
造精機能そのものに原因がある非閉塞性無精子症、精子の通り道に何らか の障害があり精子が体外に出られない閉塞性無精子症があります。
また、現在、非閉塞性無精子症には二通りの原因があるとされています。

※ この項目では造精機能そのものに原因のある非閉塞性無精子症について説明し、
精子の通り道に原因がある閉塞性無精子症については、精路通過障害の項目で説明します。

低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症(MHH)による無精子症
睾丸が小さく、ホルモン検査でLH、FSH、テストステロン値が共に低い場合、
MHHによる無精子症が考えられます。
原因
先天性のカルマン症候群や脳腫瘍や脳外傷の治療などによる
後天性のものがあります。

治療法
MHHそのものの治療法としては、不足しているホルモンを補充する意味で、
hCGとFSHを注射し、精子形成を促進させます。
また、テストステロンも同様に不足している状態なので
テストステロンの注射をうつこともあります。

原発性精巣機能障害
睾丸が小さく、FSH値が高く、テストステロン値が正常又は低い場合、
原発性の精巣機能障害による無精子症が考えられます。

原因
おたふく風邪のウイルスであるムンプスウイルスの感染による精巣炎や
クラインフェフター症候群が原因の一つとして挙げられますが、
原因不明である場合が多いようです。
ただし、睾丸の大きさやホルモン値が正常値であっても、
原発性の非閉塞性無精子症である症例もあるようです。

原発性の無精子症の中でも精索静脈瘤がある場合、
静脈瘤を結紮することにより、精巣内の環境が改善され、
精子が出現することもありますが、
改善する率はおよそ30%程度といわれています。

治療法
非閉塞性無精子症の場合、根治的な治療法は現在のところありません。
軽度の乏精子症のように薬物療法の効果はほとんど認められないため、
多くは、TESEやMESA・PESA等による精巣内又は精巣上体内の精子を探し、
顕微授精(ICSI)による治療を行います。

また、精巣内に精子が見つからなくても、精子になる一歩手前の
後期精子細胞が見つかれば、その細胞を用いてICSIを行う技術も
研究されています。
極一部の病院では、臨床応用もされており、実際に後期精子細胞を使用した
顕微授精による妊娠・出産例も報告されています。
原因

造精機能障害の原因

bluecat

特発性精子形成障害

  造精機能障害の原因のうち、原因不明のものを特発性精子形成障害と
いいます。
造精機能障害による未妊の原因の内約60%以上を占めています。
原意不明ということから、根治的な治療は現段階ではありませんが、
軽度の造精機能障害の場合、ホルモン剤等の薬物療法を行うことにより、
精子の状態が改善されることがあります。
重度の乏精子症、無精子症と診断された場合は、残念ながら
薬物療法で症状を改善することは難しいとされており、
効果も余り期待できないと考えられています。

病院によりますが、男性が薬物療法を行いながらタイミング法を使ったり、
女性側に排卵誘発剤を使いながらAIHを行うことからスタートします。

また、重度の乏精子症、無精子症と診断された場合は、
精巣生検とTESE又はMESAを併用して精子を取り出し、
IVFもしくはICSIによる治療を行います。
bluecat

精索静脈瘤

  陰嚢の中を通っている精索静脈にこぶが出来てしまうものを
精索静脈瘤といいます。
造精機能障害による未妊の原因の内、約30%が精索静脈瘤によるものです。
左右の睾丸の内、左側に出来ることが多いようです。
精子は熱に弱く、精子を保護する為に睾丸の温度は体温より低めに
保たれています。
しかし、精索静脈瘤によって、内精索静脈を血液が逆流し
うっ血することにより、睾丸の温度が上がり、精子の数が減少したり、
運動率が低下したりしてしまいます。
日常生活に支障がない病気ではありますが、陰嚢の不快感や痛みを
感じることもあります。
また、放置することで精子の質が低下してしまうので
早期治療が必要とされます。
この精索静脈瘤を手術療法で改善することにより、
精子の質が改善されることが期待されます。
重度の乏精子症と診断された場合は、抜本的な治療には至りませんが、
精巣内の血行を良くすることにより、精子の質や運動率の悪化を
防ぐ意味で行います。

一般に精索静脈瘤は泌尿器科医による視診、触診で発見できますが、
より客観的に判断する方法として、ドプラ聴診、陰嚢シンチグラフィ、
サーモグラフィ、超音波カラードプラ法を使用して精索静脈瘤を発見します。
その結果を踏まえ、精索静脈瘤を認められた場合、
手術適応かどうか検討されます。

現在、精索静脈瘤を改善する主な手術法は4つあります。

術式名 手術方法
高位結紮手術 全身麻酔又は下半身麻酔。入院が必要。
静脈瘤のある血管を鼠径管より上で
糸で縛った上で切断。
傷口はやや大きい。
低位結紮手術 局部麻酔。日帰り又は1泊入院。
静脈瘤のある血管を鼠径管より下で
糸でしばった上で切断。
顕微鏡を使う為高度な技術が必要。
傷口は小さめで痛みも少ない。
現在、精索静脈瘤手術の主流。
腹腔鏡下手術 全身麻酔。入院が必要。
内視鏡をトロカーという管を数本用いて
体内を観察しながら精索静脈と精巣動脈を
糸で縛った上で切断。
普通の手術より拡大された視野の元で
行われるため精密な操作が可能。
出血も少なめで、傷口は1cmほどだが、
数箇所の傷口ができる。
また、傷口が小さく出血も少ないため、
回復は早い。
経皮的塞栓術 皮膚から精巣静脈に管を入れ静脈を
コイルなどの塞栓物を留置して静脈を塞ぐ。
再発の可能性が高い。
bluecat

停留精巣放置

  胎児の精巣(睾丸)は、最初はお腹の中にあります。
胎児期(妊娠3ヶ月頃から9ヶ月頃まで)にお腹から陰嚢まで下降し、
生まれる頃には陰嚢内に位置するようになります。
ところが、陰嚢に降りてくる途中で止まってしまう現象が起こることがあり、
お腹の中に精巣(睾丸)が留まっている状態のことを
停留睾丸(停留精巣)といいます。
精巣(睾丸)は生後3ヶ月までなら自然に陰嚢に降りてくることがありますが、
1歳を過ぎると自然下降は期待できない為、手術で血管と精管を伸ばして
精巣(睾丸)を陰嚢内に固定します。

停留睾丸(停留精巣)を放置しておくと、精巣は熱に弱い為、
お腹の中に留まっていると体熱で温められてしまい、
造精能力が低下してしまいます。
また、腫瘍が出来やすい、外傷を受けやすい、精巣捻転を起こしやすいと
いわれていますので、早期発見・早期治療が必要です。

また、大人になって停留睾丸(停留精巣)であることが分かった場合、
腫瘍が出来たり、精巣捻転を起こすことを防ぐ意味でも
停留睾丸(停留精巣)を陰嚢内に戻す手術は受けたほうがよいと思います。
ただ、残念なことに長期に渡って精巣がお腹の中に留まっていた場合、
既に起こってしまっている障害を回復することは難しいとされています。

精子の状態によって軽度であれば薬物療法で精子の質の改善を図り、
重度の場合はTESEによって精子を採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

ホルモンの異常

  下垂体や精巣から分泌されるホルモンは密接に精子形成と関わっています。
これらのホルモンに異常があると、造精機能は低下してしまいます。
精子濃度や状態にもよりますが、薬物療法で精子の質や量の改善を図りま す。
また、重度の場合はTESEによって精子を採取し、ICSIによる治療を行います。

<ホルモンの異常値による症例>
PRL(プロクラチン):
PRL値が高いと性腺機能低下を起こし、性欲減退やEDの原因にもなります。
低い場合は下垂体の機能低下を起こします。

LH(黄体形成ホルモン):
LH値が高いと精巣機能低下症を起こします。
ターナー症候群、クラインフェルター症候群、睾丸女性化症候群などの
疑いが挙げられます。
低い場合は、下垂体の機能低下を起こします。

FSH(卵胞刺激ホルモン):
LHと同様に値が高いと精巣機能低下を起こし、低いと下垂体機能低下を起こします。

テストステロン:
テストステロン値が高いと男性ホルモン産生腫瘍の疑いが挙げられます。
反対に低いと、原発性精巣機能不全症、低ゴナドトロピン性精巣機能不全症
などの疑いがあります。
bluecat

染色体異常

  ヒトの染色体は、22対の常染色体と2本の性染色体から成り立っています。
常染色体には様々な遺伝子情報が含まれ、性染色体には性別を決定する遺 伝子情報が含まれています。
正常な男性の染色体は46XYになっています(女性は46XX)。
この染色体に異常があると未妊の原因の一因になります。

性染色体異常:
クラインフェルター症候群
約1000人に1人の割合で存在する症例です。
性染色体であるXの数が複数ある場合です。(例:47XXY)
性腺が未成熟な場合が多く、精子の数が極端に少ない、
若しくは作れない場合が多いです。

精液中に精子がいる場合はAIHや体外受精によって生殖医療を
受けることが可能です。
 また、精液中に精子がいない場合は、TESEによって精子を探し、
見つかれば顕微授精を行います。

46XX型(XX男性)
性染色体は、46XY型が男性の性染色体、46XX型が女性の性染色体と
されていますが、性染色体が46XX型であるのに男性であるケースのことを
XX男性と呼ばれています。
性別の核型が女性型のため、精子を作ることが出来ないとされています。

原因は、何らかの変異により、SRY遺伝子(Sex-determining region Y)を含む
X染色体を持つ精子と卵子が結合して受精すると、性染色体の構成は
46XX型であるにも関わらず、精巣を作る因子を持つSRY遺伝子が
働いてしまう為、本来であれば性別は女性であるはずなのに、
性別を男性と決定してしまう為と言われています。

47XYY型(スーパー男性)
Y染色体が1本多い症例で、男性新生児の約0.1%に認められているようです。
このケースのことをXYY症候群、スーパー男性とも呼ばれています。
精巣機能は正常範囲内が多いのですが、正常型である46XY型の男性と
比べると、精子の数が少ないといわれています。

常染色体異常:
相互転座
ある染色体と別の染色体で染色体の一部が入れ替わっていることを
相互転座といいます。
相互転座は、約625人に1人の割合で起こるとされています。
遺伝子の数に増減が無い為、相互転座を持つ当事者に障害が起きる等の
問題はありません。
ただ、流産しやすい状態になったり、産まれてくる子供に染色体異常が
現れたりする場合がありますが、
子供に遺伝する確率は150人に1人ぐらいといわれています。

ひんぱんに流産を繰り返してしまう場合は、
着床前診断(PDG:Preimplantation Genetic Diagonsis)により
正常型あるいは均衡型と診断された受精卵を選んで子宮に戻すことで
流産を防ぐことが可能です。

ロバートソン転座
2種類の染色体の短腕が脱落し、長腕同士が接合し、
融合して1本の染色体になっている状態のことを
ロバートソン転座といいます。
13・14・15・21・22番の染色体の間で転座が起こります。
染色体が融合することによって、染色体の数は45本となります。
ロバートソン転座は、約900人に1人の割合で起こるとされています。
ロバートソン転座を持つ当事者に障害が起きる等の問題は
ほとんど無いといわれています。

また、男性がロバートソン転座の場合は、産まれてくる子供に
染色体異常が発生する率は0.2%程度といわれています。

ひんぱんに流産を繰り返してしまう場合は、
着床前診断(PDG:Preimplantation Genetic Diagonsis)により正常型あるいは
均衡型と診断された受精卵を選んで子宮に戻すことで
流産を防ぐことが可能です。

逆位
同一染色体内で一部が切断され上下が逆転して再結合している状態のこと
逆位といいます。
遺伝子の数に増減が無いため、正常範囲の変異といわれています。
bluecat

精巣炎

  睾丸に細菌やウイルスが入り炎症が起こることを精巣炎といいます。
急性精巣炎と慢性精巣炎に分けられます。
多くの場合一方の睾丸にだけ炎症を起こし、両方同時に炎症を起こすことは
滅多にないようです。

急性精巣炎は大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌等の感染で
起こることもありますが、おたふく風邪の原因になるムンプスウイルスの
感染による精巣炎(耳下腺炎性睾丸炎)が大半を占めます。
症状は高熱と共に睾丸が腫れ、強い痛みを伴います。
後遺症として何らかの原因で睾丸そのものが萎縮してしまい、
無精子症や乏精子症になったり、テストステロンの分泌の低下を
起こしたりして未妊症になります。
成人してからおたふく風邪にかかった場合、約20%の割合で
精巣炎を併発するようです。

慢性睾丸炎は睾丸が腫れて大きくなったりでこぼこしたしこりが出来ますが、
痛みはありません。

精巣炎を併発したことがあるからといって必ずしも造精機能が低下するとは
限りません。
また、造精機能障害が起こっていたとしても精子が作られていることも
ありますので、精液検査等の検査を受けて確認されることをお勧めします。

急性精巣炎になった場合は、早急に適切な治療を行ってください。
治療中はなるべく安静にし、睾丸の腫れが完全に治るまで
刺激の強い飲食物はなるべく摂取しないようにし、
飲酒や性行為は控えたほうがよいです。
bluecat

物理化学的因子

  外部からの原因で造精機能低下になってしまう原因を
物理化学的因子といいます。
高温度環境、重金属による障害、環境ホルモンの影響、薬による副作用、
喫煙等が挙げられています。

高温度環境では精母細胞に障害が起きることがあります。
サウナに入ることなどにより精液所見が悪化すること、
陰嚢を冷やすことにより精液所見が向上することからも
高温度環境では造精機能に影響を与えることが分かっているようです。

悪性腫瘍に対して化学療法剤を使用した場合に造精機能に障害が
起きる可能性があるようです。

重金属では、カドミウム、鉛などを体内に取り入れてしまったことにより
造精機能が起きるといわれています。
最近では環境ホルモン(内分泌撹乱物質又は外因性内分泌撹乱化学物質が
正式名称)の影響による造精機能の低下も挙げられています。
また、必ず未妊の原因になるとは限りませんが、過度のアルコール摂取や
喫煙なども造精機能低下の一因ではないかと考えられています。
既に喫煙により精子に悪影響を与えることやアルコール依存症により、
生殖能力を低下することが、報告されています。
bluecat

外傷

  睾丸に怪我をした場合、造精機能の低下や精路通過障害を
引き起こすことがあります。
怪我によって睾丸にダメージを与えていたり、精子の通り道である
精管などに炎症やつまりを起こしたりすることがあります。

造精機能低下の場合、薬物療法が期待できる状態であれば
薬物療法により精子濃度や精子の質の改善を図ります。

精路通過障害であれば精路再建手術による改善が可能であれば
手術をして精子の通り道を確保できますが、
手術が不可能な部位や手術による改善が難しい場合は、
MESAやTESEという手術により、直接精巣上体や精巣から精子を採取して
顕微授精(ICSI)を行います。
bluecat

精巣捻転症

  精巣は精索(睾丸動脈、精管、精索静脈の総称)と繋がっています。
通常、睾丸は陰嚢底部に固定されているのですが、固定されていない場合、
陰嚢の中で睾丸と副睾丸が回転し、精索がねじれる病気です。
子供から20歳ぐらいまでの間に多く発症するようです。

症状は陰嚢の部分が突然激しい痛みと共に腫れます。
吐き気や嘔吐、発熱を伴うケースもあります。
精索がねじれると睾丸への血流が遮断され
睾丸へ血液が流れなくなってしまいます。
そうなると睾丸が壊死してしまい、機能が失われてしまうので、
発症後6時間以内に手術をして治療をします。
発症から12時間以上経過してしまうと睾丸が壊死してしまうので
睾丸を摘出するしかありません。

治療法まとめ
症例 症状改善の為の治療 未妊治療
軽度乏精子症 薬物療法・精索静脈瘤除去手術 タイミング法から
中度乏精子症 薬物療法・精索静脈瘤除去手術 AIHから
重度乏精子症 精索静脈瘤除去・場合により精子回収術
(MESA・PESA・TESE)
IVF・ICSI
非閉塞性無精子症 精子回収術(MESA・PESA・TESE) ICSI
apple line
このページのTOPへ 
精路通過障害

精路通過障害とは

精子の通り道である精巣上体、精管や射精管が
塞がっていたり、狭くなっていたり、欠けていたりすることによって
精子が外に出られない状態のことをいいます。
診断

精路通過障害の症例

bluecat

精巣上体炎

  精巣上体(副睾丸)が細菌により炎症を起こすことを精巣上体炎といいます。
大腸菌等の一般的な細菌やクラミジアや淋菌等の性感染症の原因となる
細菌、結核菌等の感染が主な原因となっています。
精巣炎と同じく急性精巣上体炎と慢性精巣上体炎があります。
後遺症として精管に詰まりを起こし、精路通過障害に繋がります。

急性精巣上体炎
症状は発熱、副睾丸の腫れ、痛みがあり、歩く時にも痛みを
感じることもあるようです。
また、同時に尿道炎や前立腺炎を併発していることもあります。
治療法は、副睾丸に例湿布をし、消炎鎮痛剤、抗生物質の投与を行います。
しばらくの間は禁酒をし、激しい運動は避けます。
治療が遅れたり初期治療が不十分だったりすると炎症が悪化し
膿がたまるので、陰嚢を切開して膿を出す必要が生じたり、
慢性化してしまったり、精巣を含め精巣上体を摘出しなければ
ならなくなるので早期に適切な治療が必要です。

慢性精巣上体炎
慢性精巣上体炎の場合は、急性精巣上体炎が慢性化した場合と、
結核菌などの特殊な細菌による感染で炎症が長引く場合があります。
急性精巣上体炎と違い、発熱や急激な腫れ、激しい痛み等は伴いませんが、
陰嚢内の違和感(硬いしこり)や、鈍い痛みが長期間に渡り続きます。
結核性のものであっても痛みの程度は鈍いですが精巣上体が
数珠状に硬く腫れます。
治療法は抗生剤の投与のみでは改善できない場合が多い為、
痛み止め等の炎症を抑える薬を長期間投与します。
それでも不快な痛みが続く場合は、精巣上体を摘出する場合もあるようです。
結核性の場合は、半年以上の長期間に渡り抗結核剤による治療が
必要となります。

炎症が治まっても精路通過障害が改善しない場合、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、
精子を直接精巣や精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

閉塞性無精子症

  射出した精液の中に精子が全くいない場合のことを無精子症と言います。
無精子症の症例には造精機能に問題がある場合と精子の通り道に
何らかのトラブルがあって、精子が外に出てこられない場合があります。
閉塞性無精子症とは精子の通り道にトラブルがあり精子が射出した
精液の中にみられない状態のことをいいます。

薬物療法や外科的療法で精子の輸送路を開通させる手術を行い、
精子が出てこられる状態にすることにより、自然妊娠が期待できます。

しかし、精管が欠損している、手術が不可能な部位であれば、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、
精子を直接精巣や精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

精路閉塞・狭窄・欠損

  精管や射精管が欠損していたり、閉塞や狭窄がある場合は、
精子は外に出ることが出来ません。

閉塞や狭窄の場合、軽度の場合だと薬物療法や
外科的療法(精路再建術)によって、精管や射精管の詰まりや
狭くなっている部分を改善していきます。
しかし、閉塞や狭窄が重度の場合や欠損している場合は、
手術が不可能だったり、回復が難しい場合は、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、
精子を直接精巣や精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。

精路再建術は、精管同士をつなぎ合わせたり、精管と精巣上体管を
つなぎ合わせたりして、精路を再建する手術法です。
原因

精路通過障害の原因

bluecat

精巣上体発育不全

  先天的な原因で、精巣で作られた精子を熟成し、貯蔵する器官である
精巣上体が発育していない状態のことをいいます。
精巣上体が発達しないことが原因で精管につまりや狭窄を起こし、
精子が外に出られなくなります。
外科的療法や薬物療法によって閉塞や狭窄を改善することを試みます。
それでも難しい場合は、精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、
精子を直接精巣や精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

ヤング症候群(young's syndrome)

  ヤング症候群は、副鼻腔気管支症候群の一つです。
慢性副鼻腔炎や慢性気管支炎を合併し、精巣上体管頭部の
特発性閉塞による無精子症も併発します。

精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、精子を直接精巣や
精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)手術による閉塞

  腿の付け根部分にある腹壁から袋状に飛び出した腹膜が飛び出して、
丸く膨れる症状を鼠径ヘルニアといいます。
飛び出した腹膜の中に腸などの内臓が入っていることもあります。
男性がなりやすい病気で乳幼児の頃と中年以降になりやすい病気です。
鼠径ヘルニアの治療は手術によってのみ完治します。

鼠径ヘルニアの手術の際に誤って精管を一緒に結紮してしまったことにより
精子の通り道を塞いでしまったことから、精路通過障害になることがあります。

精路再建術によって改善できる状態であれば手術によって治療を行います。
しかし、手術による治療が難しい場合は、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、精子を直接精巣や
精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

先天性精管欠損症

  生まれつき精管が無いことを先天性精管欠損症といいます。
精路再建術が出来ないので精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、
精子を直接精巣や精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

パイプカット

  精管を切断して精子の通り道を遮断する避妊手術のことを
パイプカットといいます。

パイプカット手術後、2年以内であれば精路再建術によって
精管を復元することにより自然妊娠の可能性は望めます。
しかし、それ以降の場合は精管を復元しても
自然妊娠は難しいとされています。
従って精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、
精子を直接精巣や精巣上体から採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

先天性の射精管閉塞・狭窄

  生まれつき射精管が塞がっていたり狭くなっている状態のことをいいます。

手術可能な部位であれば精路再建術を行い精路の改善を行います。
また、手術による治療が難しいと診断された場合は、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、精子を直接精巣や精巣上体から
採取し、ICSIによる治療を行います。
bluecat

尿道炎

  細菌の感染などによって尿道に炎症を起こす病気のことを尿道炎といいます。
この炎症により精路通過障害を引き起こすことがあります。

尿道炎にかかってしまった場合は、抗生物質を投与して治療を行います。
薬剤耐性菌が増加しているので、症状が軽くなったからといって
完治しているとは限らないため、抗生物質の投与が終わったら
必ず尿検査を行ってください。

尿道炎の完治後、精路通過障害が改善されない場合は、
後遺症として精路が狭くなっていたり塞がっていたりすることも考えられます。
手術による改善が望めるのであれば精路再建術による治療を行います。
手術による治療が難しいと診断された場合は、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって、精子を直接精巣や精巣上体から
採取し、ICSIによる治療を行います。

治療法まとめ
症例 症状改善の為の治療 未妊治療
精巣上体炎 精巣上体炎の治療 タイミング法から
精巣上体炎の後遺症による
閉塞・狭窄
薬物療法・精路再建術
場合により精子回収術
タイミング法から
精子回収術適用の場合は
顕微授精(ICSI)
尿道炎 尿道炎の治療 タイミング法から
尿道炎の後遺症による
閉塞・狭窄
薬物療法・精路再建術
場合により精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
タイミング法から
精子回収術適用の場合は
顕微授精(ICSI)
閉塞性無精子症 精路再建術
場合により精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
タイミング法から
精子回収術適用の場合は
顕微授精(ICSI)
精路閉塞・狭窄 薬物療法・精路再建術
場合により精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
タイミング法から
精子回収術適用の場合は
顕微授精(ICSI)
精路欠損 精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
顕微授精(ICSI)

apple line
このページのTOPへ 
副性器機能障害

副性器機能障害とは

副性器は精巣上体、精管、精嚢、前立腺、射精管、尿道腺、尿道、陰茎から
成り立っています。
副性器は精子が体外に出るための通り道であり、精巣で作られた精子が
副性器を通る間に受精能力や運動能力を高める場にもなっています。
これらの副性器の炎症よって精子の運動率や受精能力が低下してしまうことを
副性器機能低下障害といいます。
診断

副性器機能障害の症例

bluecat

膿精液症

  精液検査で精液1ml中に白血球が100万個以上認められる症状を
膿精液症といいます。
主に精嚢や前立腺等の副性器の炎症等によって起こります。
精子の頭部には、卵子に到達した際に卵子の周囲にある透明帯に
穴を開けるために必要な酵素が含まれています。
精子が卵子に到達した際に酵素を放出することを先体反応といい、
この先体反応が上手く働かないと卵子を受精させることが出来ません。
精液中に白血球の量が増加すると、白血球が精子を貪喰する
(白血球が精子を食べること)時に、この酵素が散らばってしまい、
他の精子まで痛めてしまいます。
従って精子が傷付いてしまうため、運動能力が低下します。

先ずは膿精液症の原因となっている炎症を治すために
抗生物質等を投与します。
薬物療法により改善されれば自然妊娠が期待できます。
しかし、症状が改善されない場合は、ARTによる治療が必要となります。
bluecat

精子無力症

  精液検査の結果、精子運動率が50%未満の場合を精子無力症といいます。
つまり精子の運動能力が低下していて元気が無い状態のことです。
また、直進性運動率が25%未満の場合も問題があります。

精子の運動能力が落ちていると、受精するための関門である
卵子の透明帯を通過することが難しくなります。
また、透明帯を破ることが出来ても卵子に入り込めないと受精に至りません。
従って精子に元気がないと受精しにくくなります。

原因は先天的なものがほとんどであるといわれますが、精嚢炎や前立腺炎、
高熱、おたふく風邪による睾丸の炎症や精索静脈瘤も原因の一つとなります。

精子無力症の原因が前立腺炎や精嚢炎、睾丸の炎症の場合は、
薬物療法による治療を、精索静脈瘤の場合は、手術により除去します。
これらの治療を行っても症状が改善されない場合は、
顕微授精による治療を検討します。
原因

副性器機能障害の原因

bluecat

精嚢炎

  精嚢に何らかの原因で炎症を起こす症状を精嚢炎といいます。
主に結核菌、マイコプラズマ、クラジミア、サイトメガロウイルス
(ヘルペスウイルスの一種)による感染が原因となります。

精嚢では、精液の主要成分を作っていて、その成分の中には
精子の運動を活発にさせる成分が含まれています。
精嚢に炎症が起こると精嚢の機能が低下してしまい、
精子の運動能力の低下を起こすことがあります。

精嚢炎にかかった場合は、抗生物質等による薬物療法によって
炎症を改善します。
bluecat

前立腺炎

  前立腺が炎症を起こしている状態のことを前立腺炎といいます。
急性前立腺炎と慢性前立腺炎があります。
主に大腸菌や淋菌、クラジミア・トリコマティス、膣トリコモナス等による
感染が原因となります。

前立腺では前立腺液を分泌しています。
前立腺液は精液の構成成分の一つで、精子の保護を行うクエン酸や
精子の運動を促進する亜鉛、精子の運動エネルギー源となる加糖が
含まれている為、前立腺が炎症を起こすことで精子の運動能力の低下を
起こすことがあります。

症状としては急性の場合は発熱、頻尿、頻用痛、
慢性の場合は、残尿感、頻尿、射精前後の痛み等があります。

抗生物質などによる薬物療法や前立腺マッサージ等により、
炎症の改善を行います。

治療法まとめ
症例 症状改善の為の治療 未妊治療
膿精液症
薬物治療 タイミング法から
症状が改善しない場合は
体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)を
検討
精子無力症(軽度) 薬物治療・手術療法 タイミング法から
精子無力症(中等度) 薬物治療・手術療法 人工授精(AIH)・体外受精(IVF)
精子無力症(重度) 薬物治療・手術療法 体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)

apple line
このページのTOPへ 
性機能障害

性機能障害とは

性欲が無い、セックス時に勃起しない・射精できないなど性行為に
何らかの障害があることを性機能障害といいます。
性機能障害には、心理的な要因やストレス等が主な原因の機能性のものと、
生殖器そのものに何らかの異常があることが原因の器質性のものがあります。
診断

性機能障害の症例

bluecat

勃起障害(ED)

  セックスをする際に充分な勃起が得られない、又は充分な勃起が維持できず
セックスが出来ない状態を勃起障害といいます。
勃起障害には機能性勃起障害と器質性勃起障害があります。

機能性勃起障害
ほとんどが心因性によるもので、勃起障害の大部分を占めています。
日常生活のストレスからくるもの、過去のセックスの失敗による自信喪失、
性的コンプレックス、うつ病等の心の病気などが
主な原因になっていることが多いようです。
また、初体験が遅かった・セックスに奥手な方の場合は、夫婦生活そのものが
ストレスになる場合もあります。
その他にパートナーの「赤ちゃんが欲しい」という強い挙児希望から
強いプレッシャーを感じ、妻とのセックスに対してストレスになり
セックスが上手く行かなくなる場合もあるようです。

治療法としては、心理療法と薬物療法を併用していきます。
心理療法では、カウンセリングやセックスセラピーなどによって、
セックスに対する自信を取り戻したり、セックスに慣れたりすることを
行います。
また、薬物療法ではバイアグラやレピトラ等を使用します。

器質性勃起障害
器質性勃起障害の場合は、陰茎そのものの障害、神経や血管の障害、
内分泌異常などが原因となっています。
動脈硬化などによって陰茎への血行が悪くなっている場合だと、
充分な勃起は期待できません。

治療法としては、陰茎そのものの障害の場合は、
手術療法(疾病の内容によっては薬物療法)を行います。
手術療法により陰茎そのものの障害が改善された場合、
タイミング法から始めます。

神経の障害による勃起障害の場合は、バイアグラやレピトラ等を使用した
薬物療法を行います。
薬物療法が有効ではない場合、前立腺マッサージや
電気刺激による射精によって精子を採取したり、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって直接精子を採取し、
顕微授精を行います。

血管の障害による勃起障害の場合は、バイアグラやレピトラ等を使用した
薬物療法を行います。
薬物療法で効果が無い場合は、陰茎の血管に対する手術を行ったり、
セックスの前に海綿体内に血管拡張薬を注射したりします。

機能性・器質性双方とも勃起障害が改善されない場合は、
AIHからの治療を検討していきます。

※ バイアグラやレピトラ等について
これらの薬はあくまで勃起を助ける薬であり、
陰茎を直接勃起させる薬ではありませんし、性的な興奮を起こす作用も
ありませんので、服用したから即、勃起が起こるわけではありません。

また、心臓疾患で硝酸剤を使用していると使用することが
出来ない場合もあり、これらの薬には副作用が出ることも確認されている為、
必ず医師の指導下で服用してくださいね。
焦らないでリラックスして少しずつ回復を目指してくださいね。
bluecat

膣内射精不能

  文字通り女性の膣内で射精ができないことを膣内射精不能といいます。
刺激の強いマスターベーションの慣れによって、女性の膣での刺激では
射精に至らない場合や、セックスに集中できないということが主な原因です。

治療法としては、女性の膣による刺激でも射精が出来るようにする為の
正しいマスターベーションを訓練し、
カウンセリングやセックスセラピー等で性生活の改善を行います。
また、セックスに集中できない場合は、性的な空想をして
セックスへの集中力を高めるようにします。

それでも改善されない場合、マスターベーションによる射精が可能な場合は、
AIHからスタートします。
全く射精が出来ない場合は、直腸からの電気刺激や前立腺マッサージによる
射精から精子を採取し、顕微授精を検討します。
bluecat

逆行性射精

  本来、射精の時には膀胱と尿道の境界である内尿道口は閉鎖されて、
精液が陰茎から放出するようになっています。
しかし、内尿道口がきちんと閉鎖されておらず開いたままの場合は、
精液が陰茎から体外に放出されないで、膀胱に流れてしまいます。
この症状のことを逆行性射精といいます。
糖尿病・脊髄の損傷・薬物・骨盤の手術等が原因としてあげられています。

症状は射精時に絶頂感は感じられるが精液の量が少ない、
又は無い状態です。
尿検査において尿の中に精液が認められれば逆行性射精と診断されます。

治療としては軽症の場合は、内尿道口部を収縮させる薬を投与して
様子を見ます。
それ以外の治療法としては、膀胱から精子を採取したり、
前立腺に刺激を与えたりして精子を採取し、
人工授精や体外受精による治療を行います。
bluecat

無精液症

  射精時に絶頂感は感じられるが精液が射出されない症状を
無精液症といいます。
精液が陰茎に射出する際に必要な精子の通り道である精路の収縮が
起こらなくなった状況です。
絶頂感を感じた後の尿を調べても精子が認められない場合に診断されます。
この場合は閉塞性無精子症や非閉塞性無精子症が疑われます。

原因は、脊髄損傷、骨盤内の手術による神経障害、糖尿病等の疾病や
精路通過障害等が挙げられます。
薬物療法で改善することは難しいとされている為、直腸からの電気刺激等で
人工的に射精させ精子を採取する方法を試してみます。
それでも難しい場合は、精子回収術(TESE・PESA・MESA)で
精子を採取し顕微授精を行います。
原因

性機能障害の原因

bluecat

心理的要因

  日常生活のストレスや疲労からくるもの、過去のセックスの失敗による
自信喪失、性的コンプレックス、うつ病等の心の病気などが
主な原因になっていることが多いようです。
また、初体験が遅かった・セックスに奥手な方の場合は、
夫婦生活そのものがストレスになる場合もあります。
その他にパートナーの「赤ちゃんが欲しい」という強い挙児希望から
強いプレッシャーを感じ、妻とのセックスに対してストレスになり
セックスが上手く行かなくなる場合もあるようです。

治療法としては心理療法や薬物療法(バイアグラ・レピトラ等)、
パートナーとの協力による行動療法で心理的要因の改善を図っていきます。
bluecat

陰茎異常

  陰茎(ペニス)に異常があって性行為が出来ない場合を陰茎異常といいます。
包茎や尿道下裂、陰茎屈曲、陰嚢ヘルニア、陰嚢水腫、ペロニー病等が
原因です。
この場合、ほとんどが外科的療法(手術)によって陰茎の異常の改善を
図ることが可能です。
上記の障害を取り除くことでセックスも可能になりますし、
自然妊娠も期待できます。
bluecat

神経伝達異常

  勃起は、性的な刺激を受けて先ず大脳が反応します。
そして脊髄を通って勃起神経を興奮させ、ここから末梢神経を経由して
陰茎内の動脈が広がり、海綿体に血液を流入させることによって起こります。
勃起をするためにはこれらの神経伝達がうまくいかないと
勃起が起こりません。

神経伝達異常の原因は、脳卒中やパーキンソン病等の脳疾患、
脊髄損傷や脊髄炎等の精髄疾患、糖尿病や骨盤内の手術による
末梢神経障害等の神経障害を起こす病気や障害が挙げられます。

治療法としては大元になっている原因が明確な場合は
その根治を目指します。
神経伝達異常による勃起障害そのものの治療には、
バイアグラやレピトラ等の薬物療法を行いますが、
効果が認められない場合には、前立腺マッサージによって射精を促したり
精子回収術(TESE・PESA・MESA)を用いたり、して精子を採取し、
顕微授精を行います。
bluecat

陰茎への血管系異常

  勃起は海綿体に血液を流入させることによって起こりますから、
勃起動脈、静脈共に閉塞や狭窄があると充分な勃起が起こらなくなります。

主に動脈硬化、高血圧、糖尿病や骨盤の損傷などが原因となります。

大元になっている原因があるのであれば、まずはその原因の治療を
優先させます。
それ以外では、バイアグラやレピトラ等の薬物療法を行いますが、
効果が認められない場合は、陰茎の血管に関する手術を行い、
改善を図ります。
bluecat

糖尿病

  糖尿病が原因となって陰茎の末梢神経に異常が起こり、
性的刺激による刺激が、神経を通して伝わりにくくなったり、
血液の流れが悪くなったりして充分な勃起が期待できなくなります。
また、逆行性射精になる場合もあります。
先ずは糖尿病の治療を優先させていきます。
bluecat

骨盤内の手術

  骨盤内には勃起機能を調整する為の重要な神経や血管があります。
前立腺がんや膀胱がん、大腸がん等骨盤内にある器官の疾病を
治療する為に手術した場合、神経や血管が損傷してしまうことがあります。
その為、勃起障害が起こることがあります。

最近では神経を出来る限り温存して性生活に支障が出ないような手術方法が
採られるようになって来ているようです。
bluecat

脊髄損傷

  脊髄損傷によって神経が傷つけられて勃起障害が起こることがあります。

薬物療法によって機能回復が望める場合もあります。
薬物療法による治療が難しい場合、前立腺マッサージや直腸からの
電気刺激による射精によって人工的に射精を促して精子を取り出します。
この方法では繰り返し行うことが可能ですが、精子の運動率が
かなり低いというデメリットが挙げられます。
また、この方法での射精が難しい場合、
精子回収術(TESE・PESA・MESA)により精子を採取し、
顕微授精による治療が可能です。
精子回収術で採取した精子は、電気刺激で採取した精子より
運動率は良好のようです。
bluecat

誤ったマスターベーション

  布団やシーツ、手の平等に強く陰茎をこすりつけ、刺激の強い方法で
マスターベーションをすることを誤ったマスターベーションといいます。
このような刺激の強い方法でマスターベーションを行い続けると
膣内の刺激程度では、射精することが難しくなってしまいます。
治療法としては、正しいマスターベーションのやり方をカウンセリングなどで
行い、膣内の刺激でも射精できるように改善していきます。

治療法まとめ
症例 症状改善の為の治療 未妊治療
機能性勃起障害 心理療法・薬物療法 タイミング法から
改善されない場合はAIHから
器質性勃起障害 薬物療法・手術療法 タイミング法から
改善されない場合はAIHから
膣内射精不能 心理療法
場合によっては精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
タイミング法から
改善されない場合はAIHから
場合によっては顕微授精
逆行性射精 薬物療法
膀胱から精子を採取
場合によっては精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
改善されない場合はAIHから
無精液症 精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
顕微授精

apple line
このページのTOPへ 
その他

その他の症例と原因

上記の症例や原因の他に精子そのものに異常がある場合や
身体が精子に対して抗体を持っている場合も未妊の原因になります。
診断

その他の症例

bluecat

抗精子抗体

  男性の体内では精子と自分自身の血液は
接触しない仕組みになっていますが、精子と血液が直接接してしまうと、
男性の体内で抗精子抗体が作られます。
抗精子抗体には、
精子をくっつけて塊を作り運動率を低下させる「抗精子凝集抗体」、
精子を攻撃して不動化したり死滅させたりする「抗精子不動化抗体」、
精子の受精機能を低下させる「受精阻害抗体」があります。

男性側に抗精子抗体が出来てしまう原因は、精巣に炎症を起こしていたり、
精管が詰まっていたりすると抗体が作られやすくなるようです。
(パイプカット後や精巣の外傷等)

抗精子抗体検査で陽性と診断された場合ですが、
精子の凝集塊が認められても、元気で運動率のある正常な精子が
たくさん認められる場合は、自然妊娠が可能となります。
治療法としては洗浄した精子を使ったAIHや、
重症の場合は、体外受精・顕微授精による治療となります。
bluecat

奇形精子症

  精液検査で70%以上の精子が形態異常である症状を
奇形精子症といいます。
精子の奇形には精子頭部の構造異常と精子尾部の構造異常に
分けられます。
精子頭部の奇形の場合は、ほとんど受精能力がありません。
精子尾部の奇形の場合は、精子が正常に運動することが出来ない
状態になるようです。

奇形精子症の主な原因は原因不明でありますが、精索静脈瘤、
逆行性射精、染色体異常などが原因となっていることもあるようです。

治療法としては、精索静脈瘤、逆行性射精等の治療可能な病気が
ある場合は、その病気の治療を優先させます。
しかしながら奇形をなくす方法はまだ見つかっていません。
従って原因不明や改善出来ない場合は、出来るだけ正常形態に近い
運動精子を選んで顕微授精による治療を行います。
また、精子回収術(TESE・PESA・MESA)によって運動率が良好で
形態正常な精子を採取できる可能性もある為、精子回収術により
精子採取を行い、顕微授精による治療を行うこともあります。
また、一部の病院では精子回収術によって採取された精子も
奇形精子のみの場合は、後期精子細胞を使用した顕微授精による治療を
行っているようです。
bluecat

精子不動症

  精液中に精子は存在していますが、全く動いていない状態を
精子不動症といいます。
原因は、炎症による白血球の増加や生殖機能の低下、抗精子抗体、
カルタゲナー症候群が挙げられます。

動いてない精子には、死んでいる精子と生きている精子の2通りがあります。
この両者はHOSテスト(ホステスト)によって選別することが容易なので、
生きている精子のみを選別し、顕微授精による治療を行います。
bluecat

死滅精子症

  精液中に精子は存在していますが、ほとんど精子が死んでしまっている状態を
死滅精子症といいます。

原因は炎症による白血球の増加によって白血球が精子を貪食する等が
あるようですが、具体的な原因は解明されていないようです。

治療法としてはHOSテスト(ホステスト)などによって生存している精子を
選別し、生存している精子が見つかれば顕微授精による治療を行います。
場合によっては精子回収術(TESE・PESA・MESA)を行い、
精巣内又は精巣上体から生きている精子を探して見つかれば
顕微授精による治療を行います。
しかしながらこれらの方法で生存精子が見つからなかった場合は、
AID(非配偶者間人工授精)が適用となります。

原因

その他の原因

bluecat

カルタゲナー症候群(Kartagener's syndrome)

  先天性の気管支拡張症、内臓逆位症、慢性服鼻炎を併発している
疾患のことをカルタゲナー症候群といいます。
気管支線毛や精子尾線毛の運動不全が見られるため、
精子が運動できず、動けない症状である精子不動症も併発します。
HOSテストで生きている精子を選別し、顕微授精による治療を行います。
bluecat

感染症

  細菌による感染によって精子がダメージを受けてしまうことがあります。
感染症による原因の場合は、薬物療法によって症状を改善していきます。

治療法まとめ
症例 症状改善の為の治療 未妊治療
抗精子抗体   洗浄した精子を使ったAIHから
奇形精子症 場合によっては精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
顕微授精
精子不動症 HOSテストにより精子選別 顕微授精
死滅精子症 HOSテストにより精子選別
場合によっては精子回収術
(TESE・PESA・MESA)
生存精子がある場合:顕微授精
生存精子が無い場合:AID

このページのTOPへ 
apple line

Study Topへ   精子回収法へ
Study Top へ
 
精子回収法へ