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分かり合うために TESEを受ける前の模索 |
サミットと呼んでいる。 普段はたわいもない旅行計画とか生活改善のことなどだけど、 最近では治療のことも話すことがある。 検査結果が出たところで今後のことについて彼と話し合った。 やはりTESEを受けることは彼にとって究極の選択だけに 迷いに迷っているとのことだった。 正直言ってオペは恐いし、出来るならやりたくない。 でも子供は欲しい。とも・・・。呟いていた。 子供が欲しいのならオペするしかないということを 彼も頭では理解している。しかし・・・というところなんだろう。 どうも彼には30％の確率というのが気になるらしい。 何度も先生もやってみなくちゃ分からないよって言ってるよ。って伝えてはいる。 でも、それでも気になるものは気になるんだと思う。 オペを受ける立場だから色々迷うようだ。私がその立場でも迷うと思う。 今はたくさん考えて、自分たちの気持ちに向き合う時期だと思う。 半年時間があるんだから、その間に気持ちは定まるのではないかと思う。 待ち時間は辛くて長く感じるけれど・・・。 しかし、私は今はどうしてもTESEを受けてほしいとは思ってはいない。 彼がどうしても嫌ならそれでいいと思う。 二人で手を繋いで歩いていけるならそれは一つの幸せだと思うから。 正直な気持ち、彼との子供は欲しい。 でもずっと一緒にいられるのは彼だけだから、彼の気持ちが納得できるのなら、 オペはしてもしなくてもどちらでもいいと思っている。後悔のない道を選んで欲しい。 オペを受けるって決めたら、悪あがきでもなんでもいいと思う。 いいと言われているものは何でもしよう、してあげたい。 それまで彼の気持ちが前向きになるまで待つことにした。 どうか一人で抱え込まないで欲しい。 そう思って話しかけるけれど彼は言葉少なである。 それだけ彼にとって重い問題なんだと思うと切なくなる。 |
それに伴って二人の時間が減っている。 仕事を終えて一人で自宅にいるとどうしても考えてしまうのがTESEのこと。 じたばたしても仕方が無いのは頭では分かっているのに、心は分かってくれない。 一人でいることで不安に感じてしまう。 果たしてTESE受けてくれるんだろうか？それとも拒否されてしまうんだろうか？ 先生から告げられた確率のことがどうしても頭をよぎる。 TESEの結果、最悪な結果だったら彼も私もその事実を受け入れられるだろうか？ どこか壊れてしまわないだろうか。不安だ。恐い。 それを考えるとダーにTESEを受けてもらうことを強要することが出来ない。 かといってここでリタイアしてしまえば、全てが終わってしまう。 まるで明かりの無いトンネルの中を手探りで歩いているみたいだ。 出口は見つかるんだろうか？ その出口は、私やダーが望んでいる出口なんだろうか。 なるべくいい結果を想像してはいる。 悪い結果はなんだか想像できないし、恐くて出来ない。 でもふっと頭に悪い結果というのがよぎって不安になる。 焦っちゃダメだ。ダーの気持ちが決まるまで待たなきゃ。 そう思っている。しかし焦りが喉から飛び出そうになることもある。 TESEを受けることを本当に決めたら鍼治療院に行こうと思っている。 焦りからか、不安からかは分からないが、いいと思うことは何でもしたいと 変に貪欲になってしまっている。 そして、その治療院にこっそり問い合わせもした。 彼と同じ症状の人も治療されていて、改善される人もいると聞いた。 私は諦めたくない。TESEまでの時間、ただ待つなんて嫌だ。 手を尽くしてその上で結果を得たいと思っている。 やれることはやってみてその結果なら受け入れられるような気がする。 しかし、彼の気持ちを置き去りにしたまま煮詰まっていく気がする。 これはいけないと自分を律しながら、それでも考える。 焦ってはいけないと呪文のように唱えながら・・・。 |
意識的に二人とも避けているというのが現状と言ったほうがいいかもしれない。 治療のことになると空気が重い。それがつらいから避けている。 私もまた鍼治療のことをちらっと言ったが乗り気でない以上、 何も言えずにいた。時間はどんどんたっていくけど・・・。 こんなことで険悪なムードになるのならと避けている。 彼は葛藤を抱えているとは思っているが、一切口にしようとしない。 一人きりで抱えたままだった。このままでいいのだろうか？ 以前一度、鍼治療のことを話し、いつ行く？って聞いてみたら 俺のタイミングで決めるからうるさいなぁと怒られてしまった。 それ以来いつ行くの？とも聞けず、TESEの術日まで3ヶ月を切ろうとしていたので、 焦りを感じ始めていた。彼は一向に行く気配すらない。 ついにその焦燥感と仕事のストレスが重なって月よりの使者さんが来なくなった。 未だに基礎体温は上がる気配すらない。 さらにその状態が私を追い詰めていた。どうしたらいいんだろう？ 彼と話したいと思っていても中々言葉にすることすらできない状態だった。 いつから話せなくなったんだろう？あんなに何でも話せていたのに・・・。 そして不安と不安定な感情のぶれから体調がおかしくなった。 彼は私の体調の不安定・感情の不安定から何かを感じ取ったのだろう。 何か悩んでいることがあるからじゃないのかと聞いてきた。 それで思い切って今の自分の気持ちを彼にぶつけることにした。 これからどうしたい？治療をどうしていきたい？あなたの正直な気持ちが 知りたいと告げた。 ただ黙って何もしないまま手術を受けるつもりなのか、 それともオペそのものが嫌なのか、治療をせず子供を諦めるのかと・・・。 彼は二人の子供が欲しいという気持ちは強いと告げた。 授かるためにはそれしか方法がないというのならオペは受けると言った。 ただ、はりは私が言うほど必要とは思っていない。食事を気をつけていればいい。 軽く考えていたと。 以前彼と話していたことだったがTESE自体は最初で最後のつもりと決めていた。 そう決めていたからこそ、私は最初で最後のつもりなら 藁にでも縋るつもりで彼の症状にとっていいと言われているものなら、 とことんやりつくした上で、オペ当日を迎えたい。 何の手立てもしないまま受けるのは嫌だと告げた。 それに、悩んで苦しんでいるはずなのに何も言わない貴方を 見守っていくしかないの？何も言ってくれないの？それが嫌だとも言った。 そして、このままで本当にいいんだろうか？ 勢いで未妊治療というレールに乗って走っているだけじゃないんだろうか？ 本当に私たち夫婦にとって「子供」が必要なんだろうか？ それが今の私には分からない、見えなくなっているといいました。 こんな状態がずっと続くのなら子供を諦めたほうがいいんじゃないかとも。 彼は黙って私を抱きしめた。そして抱きしめたまま つらかったね。心配させてごめんね。そしてありがとう。と呟いてくれた。 私も泣きながらつらいでも怖いでも苦しいでもいいから 私に気持ちを伝えて欲しい。あなたの気持ちが分からないことほど 怖いものはないんだと。 未妊治療はつらくて長い道のりだと思う。 でもこうやって夫婦の絆を確認できるのなら、 それはそれで幸せなことなのかもしれない。 |
Copyright(C) Tomo Siraki
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