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blueneko Brilliant Grains

光の粒 細胞ICSI 2回目

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より確率を上げる為に

初めての顕微授精が失敗に終わり、なかなか2回目の未妊治療へと
向う気力が起きなかった。
一般的に妊娠が分かるのは月よりの使者さんの到着が遅れ、
若しかしたら?とか、使者さんの到着の遅れが尋常では無いために
産婦人科を受診したり、検査薬で試したりした結果
初めて妊娠が分かるというパターンだと思う。

私たちがそれと違っていたのは、受精した小さな命を自分の体内に戻した時点で、
既に自分の体には小さな命が宿っていることを自覚しているからだ。
TESE終了後、医師からの説明を受けて、着床する確率が10%ほどしかないと、
頭で分かっていても、心は受精卵を戻した時点で否応無く
妊娠していると考えてしまう。

本来なら着床の壁を突破し、その上で妊娠と言えるのだが、
頭で理解していることと心は全く違う風に感じているわけで、
その現実を受け入れることがなかなか出来ず、感情が堂々巡りをし、
彷徨っていた。

それでも時間が悲しみや傷を癒してくれ、徐々に次回のチャレンジを
いつ頃にするか考えるようになっていった。

妊娠する為には何でもやっておきたい。後悔はしたくない。
そんな思いで、次のチャレンジに向けて妊娠しやすい身体作りをしておこうと思い、
様々な情報をネットで収集していた。
その中でサプリメントによる栄養療法というものがあることを知り、
幾つかの病院(多くは心療内科・産婦人科はごく少数(ARTを扱う病院では皆無))が
取り入れているのを知った。
その中の病院のサイト(心療内科)の体験談には、体外受精の為の卵作りのために
取り入れたら質のいい卵が採れたと書かれていた。
それで興味を持ってしまったのだが、我が家の治療の方針は、
どんな小さなことでもサミットで話し合い、結論を出すということでなので、
ダーに相談してみた。

ダーは、
「とりあえず栄養療法をしている病院に問い合わせをしてみよう。
それで一度カウンセリングを受けてもいいと思うよ。
そのサプリメントを摂ったことで質のいい卵が出来て妊娠に繋がる関連性が、
果たしてあるのかも聞いてみたいからね。

でも、A病院があくまでも治療を受ける病院なのだから、
主治医であるDr.の意見を無視して勝手に始めるのはいただけないと思う。
栄養療法をやっている病院のカウンセリングを受けてからでもいいから、
一度、A病院のDr.に意見を聞いてみて、それから取り入れてみるか
否かの判断材料にしてみた方がいいんじゃないかな。」
と、彼の意見を言ってくれた。

そこでとりあえず該当した病院に問い合わせをし、カウンセリングを先に受け、
その上でA病院に問い合わせすることに決めた。
カウンセリングは、栄養療法についての説明や、
私自身の細かな栄養状態を知るために、血液検査を行い、
その他にも身長や体重、体内の水分量等、かなり細かな検査となった。

この検査結果を踏まえ、かなりの量と値段のするサプリメントを勧められた。
医者が処方したサプリメントなのだから、信頼のおける質の高いものとは思うが、
値段も高額なこともあり、カウンセリングを受けた中で疑問に思えるものもあり、
一旦保留にし、A病院に卵の質とサプリメント摂取の関連性についての
問い合わせを行った。

A病院からの回答は、質の良い卵を得るには排卵誘発方法が
一番重要であるとのことだった。
サプリメント等を取って色んなことを試してみたいという気持ちは分かるが、
これと言って効果を期待できるものではないので、むやみに取る必要はないし、
勧めない。と、返事が返ってきた。

そこでまた、二人でA病院の回答を踏まえて話し合った結果、
栄養療法は見送ることにし、
普段の食生活の更なる見直しからスタートすることにした。

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大丈夫よ

丁度その頃、同じA病院で細胞ICSIをしている友達から
排卵誘発の為の病院を教わった。
そこは同じA病院での遠隔治療を行う方が多く通われているところらしく、
その病院の院長先生もA病院の院長先生をよくご存知のようだった。

排卵誘発が始まるとその病院に通うには少し時間が以前の病院と違い
通院時間がかかるが、友達から信頼できるDr.だと言うことを聞き、
彼と話し合った結果、その病院で排卵誘発をお願いしてみようということになった。

年明けにA病院の院長先生とメールでのやり取りを始めた。
前回の顕微授精から時間が開いてしまっていること、前回採卵した卵の状態が、
余りグレードのいいものが取れなかったことなどが心配であるということや、
友達から教えてもらった病院を紹介してもらうことなど、
次回のチャレンジに向けて何度かやり取りをさせてもらった。

期末に入り二人とも忙しい日々を送っていたのだが、何とか都合をつけ、
A病院から新しい病院への紹介状を受け取り、二人でその病院に行った。
その病院は、ある歓楽街にある病院で昔ながらの病院という感じだった。
しかし、病院のドアを開けると多くの患者さんが来ていて混み合っていた。
様々な年齢層の女性が診察を待っており、この病院の医師の信頼性の高さが
そこからも伺われた。

院長先生にお会いし、基礎体温票と紹介状を見せ、ダーのことを話すとあっさりと、
「そうね。日本ではあそこしか対応できないものね。
でも大丈夫よ。それでも赤ちゃん授かれるから心配しなくてもよいのよ」と
何の気負いも無く仰った。

『大丈夫よ』

この一言が嬉しかった。今まで一度も医師から言われなかった言葉。
もちろんこの治療には、絶対もなく楽観的な状態ではないのは分かっているけれど、
多くの不安や焦りを抱えてギリギリの気持ちでいる私たちにとって、
この言葉をかけてもらえたことで、気持ちが楽になったような気がする。

治療についての話が終わった後、内診とがん検査をすることになった。
内診室に呼ばれ、しばらく待つと、院長先生ががん検査をしてくださった。
がん検査の最中にこれから内診だなと思っていると、
院長先生がご主人も一緒に見て貰おうよ。とご提案された。
そしてすぐに看護師さんがダーを呼びに行った。

すぐにダーが内診室に入ってきて、院長先生と看護師さん、そして私たちで、
私の子宮や卵巣、そして卵をチェックした。

ダーは生まれて初めて内診を受けている妻と一緒に
子宮や卵巣のエコーを見ることになりかなり緊張した面持ちで
Dr.の説明を聞いていた。

後から聞いたら、ちょっとびっくりはしたけど
新鮮な経験をしたし、改めて未妊治療って二人でやるもんなんだなって思えた。
と、話してくれた。

それに、未妊治療は夫婦でするものだと
ごく普通に当たり前のように彼を呼び入れてくれたということも
ダーにとって、嬉しいことでもあり、院長先生のことをとても頼もしく感じたようだ。

右の卵巣の卵が割りと育っているが左が小さめだったようで、
次回は右側の卵巣から排卵するという予測が立てられた。
しかし、この周期にチャレンジをスタートすると期末にかかる為、
この周期は見送り、次回の周期が始まったらチャレンジスタートと言う事になった。

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初めての漢方

誘発をお願いする病院を紹介してくれた友達からアドバイスを受け、
A病院で漢方薬の処方をお願いした。

今度こそ無事にちびちゃんを迎え入れるためにがんばりたい。
少しでも質のいい卵が出来、ほんの少しでもいい、確率を上げておきたい
という気持ちからだった。

漢方薬を取り入れてみることもまた、ダーと相談して決めた。
決め手は、主治医の了承なしで勝手に漢方を始めるわけではなく、
主治医の了承の下で治療メインの病院からの処方ということもあり、
何よりも安心であるし、安全だろうと思うからだ。

治療においては、主治医としっかり話し合っておくことが大切だと思う。
治療に入ると多くのホルモン剤を投入するわけだし、
他の薬やサプリメントとの相性が悪かったら、身体に影響があるかもしれない。
よって主治医に未妊治療以外の治療についても把握してもらっておいたほうが、
安心して治療に取り組めるのではないかと思う。

善は急げと、A病院に電話し、メールを送る旨を伝え、
早速問診票と基礎体温表をメールで送っておいた。

翌日電話をすると、既に送った問診票や基礎体温表をご覧になっていたようで、
電話に出られた看護師さんから、追加でむくみについて質問をされた後、
漢方薬を処方してくださる先生とお話しをした。

初めてその先生のお声を聞いたのだが、何か暖かい、包み込むようなお声だった。
そして、色々なお話をした後、少しでも質のいい卵とベッドを作る為に、
私にあった漢方を処方してくださるとのことだった。

最初は様子を見るために1週間分の処方のみだったが、
3〜4日ほど様子を見て経過報告をし、その後、採卵予定日前日までの分を
処方してもらうことになった。
少しでも良い状態になれると良いな。

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2回目のチャレンジスタート

4月後半に差し掛かった頃、月よりの使者さんが到着した。
病院の診療時間は既に終了していたので、翌日に電話をし、予約を取った。
A病院にも連絡をし、刺激周期がスタートとなることを伝えた。
HMG注射の初日が週末ということもあり、彼と二人一緒に病院に向うことになった。

未妊治療はなかなか人には言いにくいこともでもあるし、
突然今日から通院始めますという、周囲に迷惑をかけてしまうのではという、
心配もかなり感じてしまっていたので、週末からのスタートということもあり、
職場の了承も余裕を持って伝えることができ、感謝だ。

順調にたまちゃんずが育ってくれますように・・・。

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不安材料

週末は、彼と二人で病院に通い、平日は一人で注射に通った。
前の病院と比べ待ち時間がかなり少ないのでありがたかった。

今回は、HMGの薬剤が前回と違うからなのか、やたらと眠い。
前回は余り眠さを感じなかったのだが・・・。
気になることでもあったので、Dr.に聞いてみることにした。
Dr.は、がんばって卵作りをやっていて、子供を作る体勢に入っているのだから、
眠くなって当たり前よ。心配しなくて良いと仰った。

その後、先生からお話しがあったのだが不安材料が勃発した。
それは、子宮がん検診の結果であった。
「ステージ3a」
つまり偽陽性である。
去年は問題なかったのに・・・。

不安そうな顔をしていると、余り心配しなくてよいとのこと。
お迎え成功になっても経過観察をしながら、妊娠の継続は可能だし、
ちびちゃんの出産が終わってから治療をしても間に合うと仰った。
このステージだと、5%程度の確率だし、ステージが下がることもあるし、
もっと詳しい検査をしないと分からないということだ。
何れにしろA病院で採卵の時にでも伝えておいたほうがよいとのことだった。

5%の確率と言われてもやはり気になってしまう。
大丈夫だろうか。不安材料勃発だ。心に一抹の不安を残したまま、
採卵に向けての注射に通い続けることとなってしまった。

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アンバランス

連日のHMG注射通いが始まり、5日目に今周期初めての内診となった。
チェックの結果、驚いたことに右の卵巣からは1個の卵のみしか確認できず、
逆に左は10個ほどの卵が確認できた。
凄くアンバランスだ。
前回のチャレンジは、ピル周期の後のチャレンジだったが、
今回はピル周期を挟むこと無く自然周期の後の排卵誘発の為なんだろうか?
前回と様子が違うととまどってしまう。

院長先生からおりものの状態、特に卵の白身みたいなものが出てくるので、
注意しておくように言われた。
また、尿の量は特に気にしておくようにとも言われた。
尿の量が少ないなどの異変がある場合は直ぐに連絡するようにと言われた。

恐らく、OHSSのことだと思われる。
気をつけておこう。
少しだけどお腹が張ってきている気がする。
がんばれ。たまちゃん達。
質のいいたまちゃん達であることを心から祈る。

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大勢のたまちゃんず

2回目の卵チェックの結果、かなり卵たちは育っていたが、
大きく育っている卵もあればまだ小さい卵もいる。

1回目のチェックの時に1個しか見当たらないと言われた右の卵巣にも、
少し小さめの卵が見えてきたそうだ。
前回よりも少し大勢のたまちゃんたち。
どうか質のいいたまちゃんたちであってくれたらなと心から願う。

しかし、院長先生が、左の卵巣のことを気になさっていた。
数が10個ほど育っており、痛みはないか?とかお腹の張りはどうだ?とか、
私の体調の変化によって異常はないかとかなり気になさっていた。
恐らくOHSSになりかねないのかもと、心配されていたのだろうと思われる。

この内診の結果、A病院に一度連絡を取ることとなった。
この病院のスタッフは、A病院での体外受精に向けて排卵誘発を行っている方が
大勢いらしているからか、とても手馴れた様子で、
A病院への連絡に必要な情報を分かりやすくメモに書いて渡してくださった。

A病院に連絡を取った結果、今日と明日はHMG150単位をうち、
明後日の診察次第で切り替えるかどうか、決定するとのことだった。

A病院の指示を院長先生に伝えたら、
「内診無しに追加はしないから、必ず診るわよ。
もし、お腹が痛いということになったら、絶対に診るわよ。」
と、仰り、やはり左側の卵巣の状態が、気になっていらっしゃるようだった。

本当に順調であることを祈る・・・。

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Goサイン

この日は、A病院の指示上では、注射だけの予定であったが、
院長先生は念には念を入れて内診をするとのことだった。

内診の結果、やはり前日より大きく育っているらしく、
Dr.が気にされていた左側の卵巣が腫れてきているようだった。

内診の結果をA病院に伝えると、前日のチェックの時の指示と変わり、
HMGの量は半分の量に減り、その翌日の夜、HCGに切り替えることとなった。

いよいよちびちゃんずのお迎えの旅路が始まる。
今回の誘発で前回よりも少しでもいいから良いたまちゃんたちが
出来ていることを切に願っている。

病院から勤務先に移動する時に電車に乗ったのだが、
妊婦さんに間違えられるぐらいお腹がぽっこり出ていた(苦笑)
ビジネスマンの方が私のお腹をまじまじと見つめ、顔を見、
あ!という顔をされて席を譲ってくれた。
完全に妊婦さんだと思われたらしい。
心の中で苦笑しつつも、お腹が張ってきており立っているのが
少し辛い状態であったので、その方の親切がありがたかった。

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再会の日へ

スプレキュアの日々も今日で終了だ。夜にはHCGをうち、切り替えとなる。
いよいよだ。

少しお腹が張ってきており、重たい感じがして、動くのが少し億劫でもあった。
しかし、明日現地に飛んでしまう為、お迎え前までにこなす用事がいくつもあり、
彼と共に用事をこなしたりしていた。

帰宅途中、大量の何かが膣から降りた感じがした。
不快感もあったのでトイレに行ったら大量のオリモノの中に少し血が混じっていた。
慌ててA病院に連絡を取り、症状を伝えると、心配無いとの返事だった。
しかし、前回はこんな出来事が無かった為、少し不安になる。
彼と話し合い、誘発をお願いしている病院のDr.にも報告することにした。

夜になり、HCGをうつために病院に行った。
夕刻に降りたオリモノのことをDr.に伝えると、オリモノの量を聞かれ、
それなら余り心配することは無いと言われ、お腹の痛みのことも聞かれた。
痛みは少しあったものの、耐えられないぐらい痛くも無いと伝えると、
今日、切り替えの為のHCGをうっておくけれど、
体調がおかしくなることも充分考えられるので、
早めにA病院と連絡を取っておき、現地でもし、体調がおかしいと感じたら、
いつでも診療体制が取れるようにしておくようにと仰った。

注射をうち終わり、これで今回の排卵誘発は終わった。
明後日いよいよ採卵だ。

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採卵

採卵日の前日、現地入りをし、移動日は何の問題も無く過ごすことが出来た。
採卵日当日、お腹がかなり重たいのでのんびり歩いていくことにして、
早めに出発した。
電車を待っている間、ダーや今回のチャレンジを知っている数人の未妊仲間に
「これから採卵に行くね」と、メールを打つ。
皆、私からのメールを待っていてくれたかのように、直ぐに「がんばって。」
「リラックスしてね」という内容の、暖かな激励のメールが返ってきた。

病院到着後、治療を受けるための手続きを行い、名前が呼ばれるまで待った。
やがて、名前を呼ばれ採卵〜ETの説明を受け、内診となった。
内診の結果、卵の数が10個を超えているため、前回と同様、
麻酔下での採卵と決まった。

内診が終わった後、すぐに採卵のために別室に移動となった。
術着に着替えた後、採卵前の麻酔のアレルギーチェックや問診があり、
あっという間に順番となった。

手術室に歩いて移動し、手術台の上に乗る。
2回目で勝手が分かっていてもやはり緊張する。
しかし、一度経験しているからか、何となく手順が分かっている為、
気持ち的には前回よりは緊張せずにすんだと思う。

前回同様、麻酔の準備が整い、手足を軽く縛られ採卵の為の準備が整った。
「麻酔を導入しますよ」と声をかけられ「はい」と返事をした後、
あっという間に意識が無くなった。

採卵終了後、看護師さんに声をかけられ起こされたようだったが、
生返事をした記憶が残るだけだった。
ほとんどまともに話せなかったと思う。

眠っている間、色んな夢を見た。
前回もそうだったが、麻酔が効いている間は、よく分からない夢を見るようだ。

点滴が終わった頃に看護師さんが来て、
今回のETも通常のETとなったこと、ETに絡むリクエストについての確認をされた。
やがて、意識もはっきりしてきたので、ゆっくりと着替え、血圧を計り、
今回処方された薬の説明を受けた。
その後、採卵後の内診を受け、膣内に入っているガーゼを取り出してもらった。
結構血がついていたように思えたが、問題の無い範囲だそうだ。
前回取り出してもらった時に見たガーゼは、綺麗なものだったが・・・。
卵巣の状態も悪くないらしく帰宅可能とのこととなった。

院長先生との面談を希望していたので、院長先生とお会いした。
面談の内容は、子宮頸がんの検査結果についてのことだ。
院長先生から、経過観察は引き続き誘発先の病院で行うようにとの指示を受け、
採卵日当日のスケジュールは全て終了となった。

ちょっとふらつく程度ではあるが、ゆっくり歩き、お昼を取って宿泊先に向う。
部屋に着いたら泥のように眠ってしまった。

夕方近くになっても眠気が取れずうつらうつらとしていたが、
何度か未妊仲間や彼とメールのやり取りをし、
採卵が無事に終わったことを報告した。

夜、彼から電話があり、翌日の合流の為の打ち合わせをする。
前回は一人でちびちゃんずを迎えたが、今回は二人でお迎えだ。

今頃、私の卵と彼の精子細胞が出会っていることだろう。
良い状態で出会い、私の身体に戻ってきてくれることを祈っている。
二人で無事にちびちゃんずを迎えられますように・・・。

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二人でお迎え

いよいよ今回のICSIの結果が分かる。
今回は彼と一緒に結果を聞きにいけることに安心感があった。

受付に必要な書類を提出し、二人で座って待っていると、中待合室に呼ばれた。
彼はまだ眠いらしく転寝をしていた。
仕事を終え、その足で病院のある地域に移動となったのだから、
かなり疲労が溜まっていることだろう。
彼に内診があるので、中待合室に行くと告げ、中待合室に移動となった。

しばらく中待合室で待機の後、内診のため、内診室に入った。
ここで子宮の状態をチェックされる。この日は院長先生だった。
内診が終わるとロビーで待機とのことだったので再び、彼と一緒に待機となった。

しばらく待っていると名前を呼ばれたので彼と一緒に呼ばれた部屋に移動。
彼と二人で院長先生にお会いすることとなった。

院長先生より今回の結果を教えてもらった。
採卵された卵の内、半分が未成熟卵だった。
前回より多く取れたものの半数が使えないとのことだった。

しかし、使えると判断された卵たちは全て受精・分割してくれた。
前回は、受精率50%だった分、100%との結果で嬉しかった。

この日は、彼と一緒だったからなのか、普段そっけなく思える院長先生が
彼にもよく分かるように色々と話してくださった。

1日だけ培養を延長してみようかという提案もあったのだが、
ちびちゃんずがもう一日、培養に耐えられるか保証は出来ないと言われた。
また、もし、いけそうであれば勧めているという院長先生の言葉もあり、
この日に戻してもらうことにした。

短い時間で即決しなければならないのは、本当に厳しいが、
二人で決めることが大切であると思うし、この決断は正しいのだと信じている。

何か質問は無いか?とのことだったので、気になっている
お腹の張りのことを伝えると、直ぐに診て下さるとのことで、チェックしてもらった。
少しお腹が張っていることは確かではあるが、問題の無いレベルらしく、
大丈夫と仰った。これで一安心だ。

その後、漢方を処方してくださっている先生のカウンセリングを受けることになった。
漢方のカウンセリングの順番待ちをしている間、
彼がお迎えに立ち会えるのか聞いて欲しいとのことだったので、
受付にたまたまいらした看護師さんに、ETの立会いをしたい旨を伝えると、
かなり驚かれた。(出産ならともかくと思われたのかもしれない。)
一応医師に確認を取ってくださるとのことで直ぐに動いてくださった。

順番が来てカウンセリングルームに呼ばれ、漢方の先生と二人でお会いした。
この日がETであるということを先生が確認された後、
先生は、
「『卵を戻す』という感覚ではなく、『よくぞ戻ってきてくれたね。ありがとう。』と、
胚の立場に立って考えてね。『縁があったらずっといてね』と、話かけてね」と
仰った。

本当にそのとおりだと思った。
私たちには医療の力を借りないと赤ちゃんを授かれない高いハードルがある。
本来なら諦めなければならなかった状態からのスタートであるのだから、
お腹に小さな命が戻ってきてくれることだけでもありがたいことなのだ。
心から愛おしい二人の子供が戻ってきてくれるということに
感謝しなければと改めて思った。

この日から着床を助ける為の漢方薬を飲むことになった。
カウンセリングの最後に、漢方の先生は今回処方した着床を助ける為の薬を
飲みきれることを祈っていると仰った。
本当にそうなってくれることを切に祈る。

カウンセリングの後、ロビーで二人して待っていると、
私の名前とそのご主人様とアナウンスされ、リカバリールームに移動となった。
彼がETの立会いをすることに対し、許可が出たようだった。
これで本当に二人でちびちゃんずをお迎えすることが出来る。

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光の粒

看護師さんに先導されてリカバリールームに向う。
立会いのOKが出て彼も嬉しそうだった。
私は術着に着替え、彼もまた手術室に入るため、滅菌服に着替えていた。

しばらくすると、看護師さんが私だけを呼びに来られ、
リカバリールーム内の別の仕切りに移動した。
ここでストレッチャーの上に乗り、ETの為の前準備をする。
この体勢のまま、しばらく待機となる。

その後、ストレッチャーに乗ったまま手術室に移動となった。
手術室に待機していたスタッフから名前を名乗るように言われ、名前を告げた。

しばらくしてから、院長先生が登場され、ご主人は?と聞かれ、
彼が看護師さんと一緒に手術室に入ってきた。

彼は、私の左側の位置に立つように言われ、私の左側で、見守ることとなった。

やがて、院長先生が彼にETの処置の説明をしながら、ETが開始された。
エコーでお腹の上から子宮の状態をチェックし、膣内を洗浄する。
膣内の洗浄の後、スタッフより名前の確認があった。

これでいよいよお迎えとなる。
院長先生が細いチューブを私の膣内に差し込む。
ここで院長先生がモニターを見ながら彼と私に説明をしてくださった。
チューブの中に白く光る小さな粒があった。
それがちびちゃんずであり、我が子だった。

そして、徐々に子宮へとチューブが差し込まれていく。
私のお腹の中にちびちゃんずが戻っていく様子が、
院長先生の説明と共に克明にモニターに映し出されていた。

やがてチューブから押し出されて私の子宮の上にちょこんと乗ったちびちゃんず。
白く光る小さな小さなちびちゃんず。
本当に戻ってきてくれたんだね。やってきてくれたんだね。
お帰りなさい。戻ってきてくれて本当にありがとう。
ずっとずっと、お腹の中にいてね・・・。
そんな思いでモニターを眺めていた。

チューブが抜かれ、子宮内にちびちゃんずがいることを確認され、ETは終了した。

彼は私の手を力強く握ってくれ、がんばったね。と声をかけてくれた。
二人でお迎えが出来て嬉しかった。

院長先生と彼が手術室を出た後、ストレッチャーで回復室へと移動となった。
ここで1時間ほど安静となる。

回復室で横になっている間、とめどなく涙が流れた。
本当に嬉しかった。
初めてのICSIの後の悲しい別れからようやくまた、ちびちゃんずに会えたのだから。
しっかりと今度こそこの手に抱きたいなと思った。

どうかずっと、ママのお腹に張り付いていてね。
ずっとずっと待っていたんだよ。
お帰り。ちびちゃんず。

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幸せと不安

ETの翌日親子揃って地元に戻ってきた。
自宅に到着するまでの間、彼は私やお腹の中にいるちびちゃんずを気遣い、
全ての荷物を持ち、移動の手続き等全てこなしてくれた。
とにかく大事に大事にちびちゃんずを地元に連れて帰らなければとの思いだった。

私は既にお腹の中にちびちゃんずがいるからなのか、凄く眠かった。
油断したら白河夜船の状態であった。

丁度GWに突入した為、間の出勤日は有休を取り、
私は判定までの間、自宅でゆったりと過ごせることとなった。
彼が出勤する日は朝、彼を見送り、処方された漢方薬を飲み、
眠気が直ぐに襲う為、転寝をむさぼっていた。

どうか今度こそ、ちびちゃんずがお腹に宿ってくれますように・・・。
そんな思いで毎日を過ごしていた。

しかし、処方されたドオルトンを一錠飲むたびに判定日が近づいてくる。
正直なところ、判定日の結果が怖かった。
前回の悲しみがそうさせているのだろう。手放しで大丈夫だととても思えなかった。

どうかどうかお腹に宿っていてくれますように・・・。
彼も私も祈るような気持ちで毎日を過ごしていた。

暇さえあればお腹に話しかけ、お腹をさすり、
幸せな時間を彼とともに過ごしていたが、
今思えば、幸せと不安が入り混じった毎日を過ごしていたように思う。

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再び空へ

2週間が経ち、判定日がやって来た。
判定の結果は「陰性」であった。今回も撃沈となってしまった。

今回は二人で迎えたちびちゃんずではあったが、
彼や私の祈りも空しく、前回と同じく旅立ってしまった。

二人で迎えに行ったのだからきっと上手くいくはずという
何の根拠も無い思い込みもあったのだが、
未熟な精子細胞によるICSIが成功するには、
とても高い壁が存在しているのだと改めて感じた。

未妊治療は苦しい思いをしたから、何かしらの努力をしたからといって
必ず自分が望んだような結果を得られるものではないと思う。
そう考えてしまうと、いっそのこと苦しみから逃れる為に
もう治療そのものを辞めてしまおう、諦めてしまおうと思ってしまう。

しかし、諦めたくない。最後のチャレンジにかけてみたいと
気持ちは様々な方向に揺れ動いてしまっている。

そんな気持ちの中で過ごしていた時に、
丁度イチロー選手のインタビューをTVで見る機会があった。
そのインタビューの中の言葉に少しだけ救われた。

「もがいて苦しんでいると光が見える。
いつか見えると思って何もしなければ、一生光は見えない。」

「苦悩というものは、前進したいって思いがあって、
それを乗り越えられる可能性のある人にしか訪れない。
だから苦悩とは飛躍なんです」

しばらくは苦しい思いが続くだろうし、葛藤もあると思う。
もう前に進めない、辛いという気持ちが起きたら、
イチロー選手の言葉を思い出して最後のチャレンジに向って
二人でしっかり手をつないで歩いていこうと思う。

きっとダーや私には「未妊」という苦しみを乗り越えられる可能性があるのだろう。
望んだ結果かどうかは最後の治療になるまでは分からないが、
私たち夫婦にとって更なる飛躍の為の苦悩なのだろうと思っている。

Sea by Tomo Siraki
Copyright(C) Tomo Siraki
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