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告知 無精子症発覚

bluecat

衝撃の検査結果

ある12月の月曜日、検査結果の日がやってきた。
ダーは結果は帰宅してから聞くからねと、言って出勤していった。

仕事を終え、夕方にクリニックへ結果を聞きに車で出かけた。
大学の合格発表を見に行く以来の緊張が少しだけあったけれど、
多分問題ないだろうとたかをくくっていた。

ようやく順番が来て、医師の前に座った瞬間、
あまりいい結果ではないというのが、医師の表情から読み取れた。

医師は
「やっぱり、結果よくなかったです。(検査結果を見せながら)
 精子、見つかりませんでした。
 うちではこれ以上の検査は出来ないので、一度泌尿器科受診をお勧めします。
 当院でご紹介できる泌尿器科の心当たりは無いので、
 ネットで調べられた方がいいかもしれませんね。」
と、苦い表情なのか同情するような表情なのか複雑な表情で仰った。

検査結果を見た時点で既にかなりの衝撃を受け、
頭はぼーっとし、鼓動は早鐘のようにどきどきしていた。
しばらくフリーズ状態だったけれど、何とか言葉を振り絞り、医師に尋ねた。
「先生、可能性は無いのでしょうか?」
当然、医師ははっきりとあるとも無いとも言うわけがなかった。
「再検査なさったほうがいい。検査結果のコピーいりますか?」
と聞かれて、「いる」と答えたら診察は終わりだった。

<検査結果>
PH   :7.2 
量   :5.7ml
数   :0×10(6乗)/ml
運動率:0%
奇形率:0%

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bluecat

神様お願い

その後はどこをどうやって車を運転して帰ったのかは覚えていない。
気がついたら家についていて、電気もつけないまま一人で泣き喚いていた。
「どうして?どうしてうちが?何故、うちなの?彼が何をしたっていうの?
 全部私が悪いのに。ちょっとでも子供はいらないって思っていたから。
 神様、ごめんなさい。ほんとは彼との赤ちゃん、すごく欲しいの。」
と、今思えば悲劇のヒロインよろしく号泣していた (^^;

ちょっとした悲しみであれば友達にSOSを出していただろうけれど、
この時は誰にもさすがに言えなかった。
哀しい?悔しい?そんな言葉では言い表せないいいようのない感情が
後から後から沸いてそれが涙とともに溢れ出ていた。

どのぐらいの時間泣いたのだろう。
泣くだけ泣いたらふと彼のことを考えていた。
きっとダーが一番つらい。結果を伝えなきゃいけないことは苦しいけど、
せめて淡々と話そうと決めた。

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bluecat

告知

いつの間にか今まで生きてきた中で一番つらいかもと思う夜がやってきていた。
彼に早く会いたいという気持ちもあったが、告げなければいけない現実を
考えると永遠にその瞬間を拒みたい気持ちもあった。
しかし夜は必ずやってくる。

ダーから、帰るコールが鳴り、いつもどおりの明るい声で、「これから帰る〜♪」
私:「うん。お迎えにいくね。」と言葉少なに答えてしまっていた。

そしていつもどおり迎えに行き、いつもどおり夕食をし、
いつもどおりの食後の時間を迎えていた。
しかし、心の中ではいつ彼に言おうと自問自答していたけれど・・・

ふとダーの顔を見るとちょっと心配そうな不安げな表情にぶつかった。
そして勇気を振り絞って「結果、知りたい?」と聞いてみた。
ダーは、
「うん。聞く。よくなかったんだよね。検査結果とかはあるの?
 あるなら隠さないで見せてね。」
と、私の表情を見て言った。
さすがに彼は私の表情から検査の結果がよくないことを感じ取っていた。
伊達に夫婦やってないんだなぁって改めて思った。

結果を見せるとなんともいえない表情だった。言わなきゃよかったんだろうか?
彼の表情を見るといたたまれない気持ちになった。

しばらく検査結果の紙を見つめ、そしてぽつりと
「どおりで出来ないはずだよね。俺に原因があったんだね」
と言ったきり黙りこんでしまった。

その時、私は何もかける言葉は見つからなかった。
励ましていいのか、黙っているべきなのか、それとも・・・?

あんな表情の彼は後にも先にも見たことがなかった。
どうしていいか分からなかった・・・。
春雷 しろくろねこの家
Copyright(C) Tomo Siraki
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