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健康食品(サプリメント)と特許

サプリ楕円

健康食品と特許について

サプリ楕円
「特許収得」・「特許申請中」・「実用新案No.○?△」・「実用新案申請中」などの言葉が
並んでいるサプリメント(健康食品)の広告を見かけます。
この特許や実用新案というのは一体何なのか、また、健康食品の広告を読み解く上で、
一つのポイントとなるのではないかと思い、調べてみようと思いました。

サプリ三角 はじめに
サプリ三角 特許や実用新案は知的財産の一部
  サプリ四角 特許権とは
  サプリ四角 実用新案とは
  サプリ四角 特許や実用新案の役割
サプリ三角 健康食品に関わる知的財産権
  サプリ四角 物質特許
  サプリ四角 製法特許
  サプリ四角 用途特許
サプリ三角 健康食品の広告によくある例
サプリ三角 まとめ
参考サイト一覧 参考サイト一覧

サプリ三角

はじめに

サプリ三角
サプリメント(健康食品)の広告のうたい文句の中によく、「特許収得」や「特許申請中」、
「特許NO.」「実用新案収得」などといった言葉が並んでいるのを目にします。
この言葉が広告等に記されている場合、その商品に対して、効果がありそうという
イメージを持つことが多いと思います。
「特許」や「実用新案」を取っている製品なら他の似たような製品と比べると
より効果があるように見えますが、この「特許」や「実用新案」とは
どういうものなのかを調べてみました。
サプリ三角

特許や実用新案は知的財産の一部

サプリ三角
さて、まず特許とはなんだろうという疑問にぶつかりました。
少し調べてみると、特許は、知的財産権の一種であるということが分かりました。

知的財産権とは、物品(家や車、アクセサリーや時計など)の形のあるものに対して
無形のもの、アイデアや発明、感情や思想の表現などの手にとって見ることが
出来ないものに対しての財産のことを指しています。

知的財産権は大きく分けて産業財産権と著作権に分けられます。
産業財産権には特許権・実用新案権・意匠権・商標権があり、
いわゆる産業活動(経済活動)に関わる権利の保護のことと考えると
分かりやすいかと思います。
一方著作権は、思想や感情の創作的な表現、即ち文芸・学術・美術・音楽に関わる
権利の保護のことと考えてよいと思います。

上記のことから、特許や実用新案は、知的財産権の一部であり、
経済活動(ビジネス)に関する権利保護の為に出来たものですから、
ビジネスに関する著作権と捉えておくと分かりやすいのかなと思います。
さて、産業財産権の中でも特に健康食品の広告で
よく見かける特許や実用新案について調べてみました。
サプリ四角

特許権とは

サプリ四角
まず特許法という法律の第1条には
「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、
もつて産業の発達に寄与することを目的とする」と謳っています。

例えばある発明者が新しく画期的な発明をしたとしましょう。
その発明に至るまでは成功するまでに時間やお金を費やすと思います。
もし、特許による保護が無かったら、発明者にとって、手間隙をかけて完成した
大切な作品である発明は、後から幾らでもお金や時間をかけずにその発明は
真似をされてしまい、真似をした人は何の労力も無くその画期的な発明によって
得をすることになります。

こうなると、最初に発明した人は発明に至るまでにかかったお金や時間のコストを
回収することが出来なくなってしまい、結果的には発明損になりかねません。
だったら後から真似をしたほうが楽ですから、
新たに発明をしてみようという意欲は無くなってきますよね。
そうすると誰も新しい発明やアイデアを考案することをしなくなってしまうので
結果的に産業衰退が起こりかねないということになってしまいます。

そこで、がんばった人に適切な利益が得られるように、
車や家の所有者が明確なのと同じように、無形のものとなる発明に対して、
「この発明をしたのはあなたですよ」と権利を保護しましょう、
また、画期的な発明を広く公開して皆の利益にしましょう、
そして産業発達に貢献しましょうというのが特許の目的と言えます。
サプリ四角

実用新案とは

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日本では特許の他に実用新案権があります。
これは、特許権の保護を受けるほど高度な発明ではない「考案」即ち、
アイデアに対しての権利保護のためにあります。
今までの技術よりも進歩したもので、産業上利用できるアイデアについて
保護しましょうという観点では特許と同じです。

特許法との大きな相違点は、物品の形状、構造又は組合せに係る
考案とされているので、製造方法のアイデアなどの「方法」に対しては
保護の対象とはなりません。
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特許や実用新案の役割

サプリ四角
以上のことから特許や実用新案は発明や考案に対する独占的権利の所在を
明らかにする制度であるということが分かりました。
つまり、あるアイデアに対して誰のアイデアであるのかの
「誰」を明確にする為のものであり、その発明そのものの実用性や効果を
証明するものではありません。
サプリ三角

健康食品に関わる知的財産権

サプリ三角
健康食品の広告で謳っている特許や実用新案は何に対して付与されているかを
知っておくと、その健康食品の広告を読み取る上で役に立つと思います。

健康食品に関わってくるであろう知的財産権は、
意匠権・商標権・特許権・実用新案権が考えられます。
これらの知的財産権はどのように健康食品に関わっているのかを並べてみました。

・意匠権 デザインやマーク(ロゴ)
・商標権 製品名(商品名)・ブランド名
・実用新案権 包装・容器
・特許権 製品の製造方法・用途・物質(製品そのもの)など

例えば広告に意匠権や商標権についての記述があるのならば、
製品のデザインやロゴ、商品名やブランド名に関してのこと、
また、実用新案権についての記述があるのならば、
その製品の容器や包装に関してのことであると理解しておくとよいかと思います。

次に特許権ですが、健康食品に関わってくる特許はいくつもあります。
そこで主にどんな特許があるのか調べてみました。
サプリ四角

物質特許

サプリ四角
新規に生成された飲食物、医薬、化学物質に対して与えられる特許です。
例えば新たにビタミンZという物質を生成したとしましょう。
この新たに生成されたビタミンZという物質に対して特許が付与されます。
この場合、ビタミンZを製造するあらゆる方法や使用目的(用途)が
保護対象となります。
従って仮にこのビタミンZの製造方法を新たに開発したり、
全く新しい使用目的を見つけたり、開発したりした場合でも
ビタミンZに対し物質特許が付与されている場合、
ビタミンZの物質特許取得者に対して許諾が必要であり
特許使用料を支払う必要があります。
サプリ四角

製法特許

サプリ四角
製法特許は物質の新しい製造方法に対して与えられる特許です。
例えば人造ダイアモンドの製造方法がこれまでAという製造方法のみだったのが、
全く新しいBという方法で人造ダイアモンドの製造方法が考案された場合、
このBの製造方法に対して特許が付与されます。
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用途特許

サプリ四角
用途特許は既存の物質に対して未知の属性を発見し、それが新しい用途に
用いることに対して与えられる特許です。
例えば鎮痛剤として使われているアスピリンを習慣性流産の治療に有効である
ということが新たに発見された場合、この「習慣性流産の予防」という目的に対して
特許が付与されます。

このように健康食品には様々な知的財産権が関わっています。
しかし、このような知的財産権を広告に明記してあったとしても、
一概に、全ての知的財産権が健康食品の販売元や生産元が取得しているとは
言えません。
例えば、特許取得者に対して、特許使用料などを支払うなどをして、
その特許に関しての使用許諾を得ている場合は
その技術を使用することもよくあります。
サプリ三角

健康食品の広告によくある例

サプリ三角
健康食品の広告には、以下のような文言をよく見かけます。

「日本で初めて○○特許取得の実績をもつ」・「特許製法により開発した○○」・
「特許申請中」・「実用新案取得」「特許NO.○△□※○」など

ある製品の広告に上記のような言葉が並んでいる場合、
似たような他の製品との比較検討をする場合、なんだか他の似たような製品より
効果がありそうな気がしてきます。

広告に記載されている特許や実用新案の内容がどんなものに対して
付与されているのかを調査してみるとよいと思います。
例えば、その製品の製造方法による特許である「製法特許」に関してなのか、
製品の用途に関する「用途特許」であるのか読み解いておくと良いと思います。

しかしながら、「特許や実用新案の役割」で述べたように、
特許や実用新案は、あるアイデアに対しての著作権のようなものですから、
その実用性や効果を証明するものではありません。

また、厚生労働省の通達(食安基発第0829001号・食安監発第0829005 号)では、
以下のように注意喚起がなされています。

『健康保持増進効果等に関する広告等に特許番号を
表示(特許申請中を含む)している場合には、
その特許が健康保持増進効果等に関係し、又はその健康保持増進効果等が
認められたものであると認識することとなる。 

その特許が、健康保持増進効果等と明らかに関係しない場合や、
認められた特許表示の内容に相当する健康保持増進効果等が発言しないと
認められる場合は、虚偽表示又は誇大表示に該当する事が懸念されます。 

※販売にあたり、医薬品的効能効果をうたう場合は、
その内容が特許表示の範囲内であったとしても薬事法上の取締りの対象となる』

実例では、その製品の作り方に対しての特許(製法特許)を付与されているのに、
その製品に含まれている物質の効能効果に関する特許(用途特許)を
取得しているかのように見せかけ、その製品が他の似たような製品よりも
より効果的なものであると見せている場合があるようです。
この場合、誇大広告であることはもちろんですが、
製法特許は、製造技術に関して付与された特許ですから、その製品の効能に関しては
全く関係が無いといえます。

また、「特許申請中」として、何に対して特許を申請しているのか明示していない場合、
他の似たような製品と比べると「より効果がありそう」と思わされることになりかねません。

では、その製品そのものの効能に関しての特許でもある「用途特許」であれば、
問題は無いだろうか、効能が証明されているのではと思いがちです。

しかし、用途特許は、新規に発見された使い方であるかどうかを
審査して付与される特許権ですから、
臨床レベルでの充分なデータを元に効能・効果を証明しているものではありません。
特許付与に関しては、実験レベルのデータでもかまわないようです。

よって、用途特許を取得しているからといって、実際に摂取した場合、
必ずその狙った効能や効果が保証されているものではないと思ってよいと思います。
サプリ三角

まとめ

サプリ三角
健康食品に関っているだろうと思われる主な特許を並べてみましたが、
健康食品に関わる知的財産権」で述べたように、健康食品にも
様々な知的財産権が関わっていることが分かります。
特許を始めとする知的財産権はあくまでもビジネス上の権利を
保護する為のものであり、健康食品そのものの品質を保証するものではありません。

使ってみようと思われる健康食品やサプリメントに
「特許」や「実用新案」という言葉がある場合、
その記載方法が、特許や実用新案によって、その製品は効能・効果があると
言いたいが為に使用されているのであれば、問題があるといえます。

従って、健康食品の広告に特許や実用新案等の言葉が並んでいても、
商品そのものの働きや、狙っている効能・効果との関係性や品質を
保証するものではありませんし、
似たような他社製品との優劣を判定する証明にはなりません。

健康食品やサプリメントを購入する前に広告をしっかり読み取って
ご自身やパートナーにとって本当に必要であるかを検討していけたらよいですね。

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参考図書・参考サイト 参考サイト一覧
pink cat 特許庁 http://www.jpo.go.jp/indexj.htm
  「制度の紹介」 
http://www.jpo.go.jp/seido/index.htm
  「知的財産権について」
http://www.jpo.go.jp/seido/s_gaiyou/chizai02.htm
  「産業財産権について」
http://www.jpo.go.jp/seido/s_gaiyou/chizai01.htm
  「特許・実用新案とは 」
http://www.jpo.go.jp/seido/s_tokkyo/chizai04.htm
pink cat 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
  「平成15年8月29日付け食安基発第08290001号及び食安監発第0829005号」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/dl/09.pdf
pink cat 知的財産用語辞典 http://www.furutani.co.jp/
pink cat 製薬ナビ http://www.seiyaku-navi.jp/

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